2012 Fiscal Year Research-status Report
色素増感太陽電池電極用微粒子集積薄膜構造の最適設計
Project/Area Number |
24560932
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
森 康維 同志社大学, 理工学部, 教授 (60127149)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 色素増感太陽電池 / チタニア粒子 / 電極構造 / 薄膜作製プロセス |
Research Abstract |
色素増感太陽電池の電極には,チタニア粒子の集積薄膜が使用される。ドクターブレード法やスクリーン印刷法などでこの薄膜が作製されているが,出来上がった粒子集積薄膜の電極構造を最適化する試みはほとんどなされていない。本研究では化学工学および粉体工学の観点から,粒子集積薄膜構造の評価技術を確立すると共に,粒子集積薄膜の構造制御を試み,用いる粒子の形状も考慮した色素増感太陽電池の光電変換効率を高める粒子集積薄膜作製条件を見出すことを最終目的とする。特に本年度は,粒子集積薄膜の作製方法を検討すると共に,P25球状チタニア粒子と自ら調製したチタニアナノロッド粒子を混合した粒子集積薄膜の電気特性をインピーダンス法で評価することにした。 粒子集積薄膜の作製方法に関しては,ドクターブレード法と比較するために移流集積法,電気泳動法,およびスプレー法を検討した。移流集積法では,一度の操作で粒子を数層分まで積層できることが判明したが,所定の膜厚にするには5回以上繰り返す必要があり,均質な膜作製には不向きであることが判明した。この方法は,むしろ均質な粒子配列膜の作製や,微粒子集合体によるストライプあるいはネッドワーク構造の作製にむいていることが判明した。この構造は,太陽電池の集電用ワイヤーに利用できる可能性を秘めており,今後も検討する予定である。一方,電気泳動法およびスプレー法では,粒子集積薄膜の膜厚を容易に厚くできることが判った。電気泳動法の方が均質性の高い膜を作製でき,また電気泳動による粒子集積操作と焼結操作とを数回繰り返すことで,堅牢な膜作製が可能であることを見出した。 インピーダンス法による粒子集積薄膜の電気特性の評価方法を確立させることができた。この方法を用いて,チタニアナノロッド粒子の混合の影響を評価し,数%のチタニアナノロッド粒子の混合で良好な光電変換効率が得られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子集積薄膜の作製方法に関しては,ドクターブレード法と比較するために実施した移流集積法,電気泳動法,およびスプレー法の内,前2者の手法の研究は比較的順調に進み,その一部を成果にすることができた。発表論文:Chemistry Letters, 41, 1207-1209 (2012),口頭発表予定:9th World Congress of Chemical Engineering, 18 – 23 August, 2013, Seoul, Korea 粒子集積薄膜の電気特性の評価方法の検討では,従来から研究を進めていたインピーダンス法を用いてチタニアナノロッド粒子の混合の影響を評価し,数%のチタニアナノロッド粒子の混合で良好な光電変換効率が得られることを見出した。また,球状チタニア粒子が結合してナノワイヤー状になった粒子集合体も含めて,一次元状チタニア物質の必要性を示した論文(Journal of Power Sources, 226, 94-100 (2013))を発表した。さらに,Kelvin probe Force Microscopy(KFM)を用いて局所的な電気特性分布を明らかにするための基礎的研究を,Max Plank Institute for Polymer Research, Mainz, Germanyとの共同研究として開始した。 粒子集積薄膜の構造評価に関しては,薄膜中のチタニア粒子量を実測できる手法を開発したことにより,膜厚測定と合わせることで,薄膜中のチタニア粒子の平均充填率を算出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「光電変換効率が高い色素増感太陽電池用の粒子集積薄膜の作製条件の探索」が最終目標であるが,成膜条件と光電変換効率の関係がまだ明確とは言えないことから,研究の重点を粒子集積薄膜の成膜条件と光電変換効率の関係を明らかにすることとする。 そのために,粒子集積薄膜の作製方法に関しては,有望性のある電気泳動法と従来の標準的手法であるドクターブレード法と比較検討する。このために,電気泳動法の特徴を明らかにするため,別途シリカ粒子を使った粒子集積薄膜作製を実施する。また,移流集積法によるストライプあるいはネッドワーク構造の微粒子集合体を作製し,集電極板への適用を検討する。 光電変換効率の測定と共に,その効率上昇を妨げている要素を明らかにするために,インピーダンスとKFM測定を推進することに注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種の実験用消耗品に使用すると共に,研究調査費,研究成果発表旅費,および学生の謝金(実験補助)に使用する。また電子顕微鏡の使用料も計上している。
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Research Products
(6 results)