2013 Fiscal Year Research-status Report
色素増感太陽電池電極用微粒子集積薄膜構造の最適設計
Project/Area Number |
24560932
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
森 康維 同志社大学, 理工学部, 教授 (60127149)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / チタニア粒子 / 電極構造 / 薄膜作製プロセス / 電気泳動集積法 / 分散状態 |
Research Abstract |
色素増感太陽電池(DSSC)の電極には,チタニア粒子の集積薄膜が使用される。ドクターブレード法やスクリーン印刷法などでこの薄膜が作製されているが,出来上がった粒子集積薄膜の電極構造を最適化する試みはほとんどなされていない。本研究では化学工学および粉体工学の観点から,粒子集積薄膜構造の評価技術を確立すると共に,粒子集積薄膜の構造制御を試み,用いる粒子の形状も考慮したDSSCの光電変換効率を高める粒子集積薄膜作製条件を見出すことを最終目的とする。特に本年度は,市販の球状チタニア粒子の乾燥粉末を懸濁液(ペースト)に調製する方法を確立することを目的とした。すなわち,ビーズミルの操作条件と溶媒の組成条件を決定することで,常に一定の分散状態のペーストを得ることに成功した。このペーストを用いて,次のような成果を得ることができた。 ドクターブレード法で,球状チタニア粒子のみの試料,あるいは球状チタニア粒子と自ら調製したチタニアナノロッド粒子を混合した試料を用い,チタニア粒子集積薄膜の空隙率とDSSCの光電変換効率の関係を調べた。空隙率が45~50%の球状チタニア粒子集積薄膜を用いると,最大の光電変換効率が得られることを明らかにした。ナノロッド粒子を混合した試料を用いると,さらに高い光電変換効率が得られた。これらの理由をインピーダンス法解析で明らかにした。 一方,電気泳動法で作製した粒子集積薄膜は,ドクターブレード法で作製する場合より,遙かに均質性が高く,膜厚を容易に制御でき,さらにその再現性にも優れていることが判った。電気泳動法の粒子集積膜を用いたDSSCでも,ドクターブレード法の場合と同様の光電変換効率を得ることができたが,空隙率が大きく,最適と考えられる低い空隙率の粒子集積薄膜を作製する方法を検討する必要があることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子集積薄膜の作製方法に関しては,ドクターブレード法と比較するために実施した集積手法である移流集積法と電気泳動法に関する研究成果は,9th World Congress of Chemical Engineering, 18 – 23 August, 2013, Seoul, Koreaで口頭発表した。 粒子集積薄膜の構造評価に関しては,薄膜中のチタニア粒子量を実測できる手法を開発したことにより,レーザ顕微鏡を用いた膜厚測定と合わせることで,薄膜中のチタニア粒子の平均充填率(空隙率)を算出することができた。これにより粒子集積薄膜の構造と光電変換効率の関係が明らかにできることが判明した。 粒子集積薄膜の電気特性の評価方法の検討では,従来から研究を進めていたインピーダンス法を用いてチタニアナノロッド粒子の混合の影響を評価し,数%のチタニアナノロッド粒子の混合で良好な光電変換効率が得られることを見出した。また,球状チタニア粒子の集積膜では空隙率40~50%で光電変換効率が最大となることが判明した。さらに,Kelvin probe Force Microscopy(KFM)を用いて局所的な電気特性分布を明らかにするための基礎的研究を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
「光電変換効率が高い色素増感太陽電池用の粒子集積薄膜の作製条件の探索」が最終目標であるが,成膜条件と光電変換効率の関係がまだ明確とは言えないことから,研究の重点を粒子集積薄膜の成膜条件と光電変換効率の関係を明らかにすることとする。 そのために,粒子集積薄膜の作製方法に関しては,有望性のある電気泳動法と従来の標準的手法であるドクターブレード法と比較検討する。このために,電気泳動法の特徴を明らかにするため,別途シリカ粒子を使った粒子集積薄膜作製を実施する。また,移流集積法によるストライプあるいはネッドワーク構造の微粒子集合体を作製し,集電極板への適用を検討する。 光電変換効率の測定と共に,その効率上昇を妨げている要素を明らかにするために,インピーダンスとKFM測定を推進することに注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
適切に執行した結果,残高が生じた。 残高を平成26年度に執行する。
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Research Products
(3 results)