2013 Fiscal Year Research-status Report
金ナノロッドの光熱変換を高感度機能素子とする生体高分子膜の調製と透過特性の制御
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24560934
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
直江 一光 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00259912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 悟 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (20413817)
今井 正直 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (80193655)
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Keywords | 膜分離 / 金ナノロッド |
Research Abstract |
本研究では、金ナノロッドを導入した温度応答性ポリマー層を有する生体高分子膜を調製し、近赤外光による透過特性の自由な制御を可能にする高効率膜分離プロセスの構築を目的としている。 そこで、H25年度では以下の項目について研究を実施した。 1) 温度応答性ポリマー膜の調製条件の探索とその透過特性: まず、前年度に得られた温度応答性ポリマーの調製条件を用いて固体赤外レーザ照射装置を導入した撹拌式限外ろ過セルに適したポリマー自立膜を製膜し、その透過特性について実験的に検討した。モデルとして水の透過挙動を調べたところ、目的とする透過速度が得られず、さらにポリマー条件等の検討を行ったが、自立膜による透過は困難であった。そこで、支持膜上に温度応答性ポリマーを積層することによるポリマー積層膜を調製し、検討を行ったところ、ポリマー積層条件によって透過挙動の制御が可能であることが明らかとなり、目的とする透過速度を与える温度応答性ポリマー膜の調製に成功した。また、伝導伝熱によってポリマー膜を温度変化させて透過実験を行い、熱による透過速度の制御に成功した。本結果は温度応答による透過制御を目的とした本研究に取って極めて重要な成果である。 2) 金ナノ粒子集合体固定化温度応答性ポリマー膜の調製: 前年度に得られた近赤外領域に特異的な吸収を有する金ナノ粒子集合体を温度応答性ポリマー膜に塗布することにより、金ナノ粒子集合体固定化温度応答性ポリマー膜の調製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度では、上述の概要に示すように、1) 温度応答性ポリマー膜の調製条件の探索とその透過特性を検討したが、適切な透過性能を有する自立膜の調製が困難となり、当初予定より検討に時間を要した。しかし、改めてポリマー積層膜を調製し、その透過特性を調べ、温度変化による膜透過の制御に成功している。また、2) 前年度に得られた近赤外領域に特異的な吸収を有する金ナノ粒子集合体を温度応答性ポリマー膜に塗布し、金ナノ粒子集合体固定化温度応答性ポリマー膜の調製に成功した。このようにほぼ当初計画よりやや遅れた状況となっているが、最終年度は当初計画通りの実施が可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、近赤外光吸収に適した金ナノ粒子集合体固定化膜の調製条件の検討を行うとともに、調製した膜の透過特性の評価を行う。 具体的には1) 金ナノ粒子集合体固定化膜の調製条件の最適化、2) 近赤外光照射による光熱変換が及ぼす膜物性への影響を調べ、3) 前々年度に作製した近赤外レーザ照射機能付き膜透過性測定システムを用いて、近赤外光応答性高分子膜の透過特性評価を行う。
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