2012 Fiscal Year Research-status Report
超臨界光触媒マイクロリアクターの開発によるグリーンプロセスへの展開
Project/Area Number |
24560937
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大川原 真一 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30282825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 裕介 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30403984)
松下 慶寿 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80240753)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 気・液・固・超臨界流体反応操作 / 反応装置 / 新規反応場 |
Research Abstract |
超臨界流体二酸化炭素を、透明で柔軟な樹脂製チューブおよびガラスキャピラリーに流通させる装置を新たに開発し、特許を申請した。また、本装置のガラスキャピラリー内壁にゾルゲル法で酸化チタン光触媒を担持し、紫外線LEDで外側から照射しつつ、水と高圧二酸化炭素の液滴を交互に流す(スラグ流)ことでメタノールが合成されることを確認した。この合成法に関しても、前述のものとは別に特許を申請した。現在のところ、二酸化炭素が超臨界となる圧力・温度条件においてメタノール生成量はそれらの操作条件に依存しないという結果が得られている。 トルエン誘導体の部分酸化プロセスに関しては、原料原液(p-メトキシトルエン)を単通チャネル型の光触媒マイクロリアクターに流すことで目的物質(アニスアルデヒト)を合成できることを確認した。この際、操作温度を上げ、原料と洗浄水を短い周期で交互に流すことで、アニスアルデヒト生成速度を大きく保てることを確認した。また、LEDから照射された紫外線を無駄なく反応に使うため、孔径50μm、厚さ0.6mm、20×20mmの多孔質ガラス内壁にゾルゲル法で酸化チタン光触媒を担持する新しいマイクロリアクターを開発した。原料原液で満たされた本マイクロリアクターが、照射された紫外線の80%程度を吸収することを確認した。さらに、本マイクリアクターに紫外線LEDで外側から照射しつつ、酸素ガスとp-メトキシトルエンを流すことでアニスアルデヒドが得られることを確認した。 また、酸化チタン光触媒前駆体をガラス板に塗布し、これを超臨界二酸化炭素中で乾燥させることで、針状の酸化チタンが積層した多孔質光触媒層を形成できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界二酸化炭素を流通させ、高圧二酸化炭素と水からメタノール合成が可能な光触媒マイクロリアクターを新たに開発し特許2件を申請するに至ったことで、本課題において最も困難なステップをクリアしたと考えている。反応好適条件の探索はまだ十分ではないが、次年度に十分に取り返せる範囲である。また、多孔質光触媒の創成に対して、その道筋がついたことは、計画以上に進展している点である。 一方、トルエン誘導体の部分酸化反応に関しては、超臨界二酸化炭素を溶媒とするに至っていないが、光触媒マイクロリアクターを用いて原料原液からのアニスアルデヒド合成が達成されており、触媒活性を維持する操作法も発見していることから、溶媒として超臨界二酸化炭素を使用することの是非は改めて検討する必要がある。このことから、この点を、計画からの遅れとは考えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿い、前年度に引き続き、操作圧力と反応成績の関係を明らかにしていく。特に、マイクロリアクター内壁に、これまでと同様にフィルム状の光触媒と、多孔質光触媒の2種類の光触媒を担持し、触媒形状の影響が顕著になる操作圧力を明らかにする。 現在、HPLCポンプを用いて水を送液しているが、設定できる流量の下限がリアクター容積に対して大きく、設定できる滞留時間に限りがある。研究を進める過程でさらに長い滞留時間が必要となった場合は、水の送液に高圧シリンダーポンプを併用する。それが必要なかった場合には、反応効率を高めるために光触媒に電圧をかけるか、光源のコストを下げるために、太陽光シミュレータを用いて光触媒の可視光応答化の試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多孔質光触媒を創成するための原材料、ガス(二酸化炭素)の購入、およびその機能評価のための分析費、反応実験を行うための薬品、ガス(二酸化炭素、酸素、窒素)の購入、反応装置を改良するための部材(ステンレス配管、樹脂製チューブ)購入などに充てる。 今年度は、圧力調整弁を購入する予定であったが、配管を工夫することで、現有のもので安定した流動状態を得ることが可能になったので、上述のように研究の進捗状況を見極めながら、高圧シリンダーポンプ、あるいは太陽光シミュレータなどの購入を検討する。
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Research Products
(7 results)