2013 Fiscal Year Research-status Report
超臨界光触媒マイクロリアクターの開発によるグリーンプロセスへの展開
Project/Area Number |
24560937
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大川原 真一 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30282825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 裕介 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30403984)
松下 慶寿 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80240753)
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Keywords | 気・液・固・超臨界流体反応操作 / 反応装置 / 新規反応場 |
Research Abstract |
前年度に、超臨界流体二酸化炭素を、内径の小さい透明で柔軟な樹脂製チューブおよびガラスキャピラリーに流通させるマイクロリアクター装置を新たに開発した。そこで今年度は、樹脂製チューブ内壁に酸化チタン光触媒を担持して超臨界光触媒マイクロリアクターとする手法の可能性について検討した。酸化チタンナノ粒子を蒸留水に懸濁したスラリーを樹脂製チューブに流通させた後、スラリーをチューブ内に保持したまま、樹脂の融点範囲において溶融流動性を示す下限温度に設定された電気炉に所定時間入れ、熱処理することで酸化チタン薄膜をチューブ内壁に担持した。このチューブにフェノール水溶液を流通させ、外部から紫外線LEDおよび太陽光シミュレータで照射することにより、このチューブが特殊光源を必要としない光触媒マイクロリアクターとして使用できることを示した。 本装置の応用として、ベンゼンの光触媒直接酸化も試みた。窒素でパージしたベンゼン飽和水溶液を単相、もしくは超臨界条件の二酸化炭素と合流させスラグ流とした場合の操作温度および圧力と反応成績の関係について調べた。単相においては、操作圧力をあげることでベンゼンの転化率が上がることを示した。 光触媒マイクロリアクターの反応成績を評価する際、反応物の壁面への吸着が無視できない場合には、既往の研究で示されてきた方法とは異なり、数時間における流通実験が必要であることを実験的に示し、評価法に関する指針を示した。 また、大きな比表面積を有するニードル型酸化チタン多孔質薄膜の生成を、超臨界乾燥を利用することにより達成した。さらに、超臨界二酸化炭素中のゾルゲル法によるナノ粒子含有薄膜のための気液平衡に関する予測モデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二酸化炭素の超臨界条件で操作可能な光触媒マイクロリアクターを実際に作製、操作し、当初想定していた反応系ではないものの、ベンゼンの光触媒直接酸化反応において、温度、圧力、二酸化炭素―水スラグ流の流量比等、種々の操作条件が反応成績および流動に及ぼす影響について検討し今後有用となる基礎的知見を獲得するとともに、高圧条件下における転化率の向上を達成した。 また、内径の小さな透明樹脂製チューブおよびガラスキャピラリー内壁への触媒担持法、リアクター評価法、太陽光下における光触媒マイクロリアクターの反応性に関しても、今後の発展に有用な知見を得た。 これらの知見を統合することにより、当初から想定していた反応系への応用も加速的に進むことが期待されるため、当初計画との差異は取り戻せる範囲の遅れだと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
流通系光触媒マイクロリアクターにおいて内径の小さいチューブ/ガラスキャピラリーを使用する場合、転化率をより実用的なレベルまで向上させるためには、チューブ/キャピラリーを長くして滞留時間を稼ぐ必要がある。そこで、これまでに得られた触媒担持法に関する知見を活かして多孔質粒子に光触媒を担持し、これをチューブ/キャピラリーに充填することを試みる。これにより、長いチューブ/キャピラリーへも容易に光触媒を固定化することが可能になると期待される。また、この方策により、溶媒を超臨界二酸化炭素とすることの効果も検討が容易になると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用する際に端数が出たため。 計画に沿って、実験研究を進めるための費用に充てる。
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