2012 Fiscal Year Research-status Report
原料や装置特性の変化および不確定性を考慮した仮想計測技術の開発
Project/Area Number |
24560940
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加納 学 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30263114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 仮想計測技術 / プロセスデータ解析 / ソフトセンサー / 局所PLS / グレイボックスモデル / モデル化 |
Research Abstract |
リアルタイム計測が困難な製品品質のフィードバック制御を可能にし,生産効率を高めるためには,プロセスの運転状態から品質を推定する仮想計測技術が不可欠である.本年度は,Just-In-Time型モデル構築手法である局所PLSの開発を進めると共に,物理モデルと統計モデルを統合するグレイボックスモデルの開発に取り組み,産業界から提供された実際の操業データを用いて,それらの有用性を検証した. 局所PLSの開発については,対象プロセスの非線形性の状態依存性,および原料や装置特性の時間依存性に応じて,サンプル間の類似度を適切に決定する方法を開発した.提案法を分解ガソリン精留塔の製品中アロマ濃度推定に適用したところ,類似度を適応的に変化させない従来の局所PLSと比較して,推定誤差(RMSE)を11.3%低減することに成功した.また,広範囲にわたる様々な運転状態で高い推定精度を実現するために,局所PLSの基盤となるデータベースが多様なサンプルを保持しなければならないことに着目し,データベースの一部は更新せず,それ以外のデータのみを先入れ先出しで更新する方法を開発し,分解ガソリン精留塔や有機プラント精製工程を対象として,その有効性を確認した.この方法は既に複数のプロセスで実装されており,厳密な品質管理と操作コストの削減に効果を発揮している.加えて,半導体製造プロセスおよび製剤プロセスへの局所PLSの適用についての検討も進めた. グレイボックスモデルの開発については,鉄鋼プロセスのタンディッシュ内溶鋼温度推定を具体的な対象として,1)物理モデルによる推定誤差を統計モデルで補正する方法,2)物理モデル中のパラメータの最適値を統計モデルで推定する方法,を開発し,物理モデルや統計モデルを単独で利用するよりも高い推定精度を実現できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
要素技術の開発がほぼ計画通りに進んでいることに加えて,産業界との連携が非常にうまくできており,実際の操業データを用いた検証が計画を上回る速さで進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
局所PLSとグレイボックスモデルの開発を継続し,その完成度を高めると共に,実データでの検証にとどまらず,仮想計測技術および推定制御システムの実装を進める.要素技術としては,高精度化に必須の入力変数選択方法と類似度決定方法,さらに不確定性の取り扱いに特に注力して開発を進める.実装については,本年度に検討を進めた石油化学プロセス,半導体プロセス,製剤プロセス,鉄鋼プロセスを主な対象とする予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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