2013 Fiscal Year Research-status Report
熱暴走抑制機能を有する新規な複合酸化物担持金属触媒の開発
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24560944
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮尾 敏広 山梨大学, 燃料電池ナノ材料研究センター, 教授 (90312090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 和寿 山梨大学, 燃料電池ナノ材料研究センター, 教授 (10530090)
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Keywords | 熱暴走反応抑止 / 担持ニッケル触媒 / バナジウム添加物 / CO水素化 / CO2水素化 / 水素製造精製反応 |
Research Abstract |
平成25年度は、研究計画に従って前年度の熱暴走反応抑止添加剤の探索を引き続き行い、著しい効果を有するバナジウム系添加物を見出した。 アルミナ担持Ni触媒をモデル触媒としてバナジウムを添加したところ、熱暴走反応であるCO2の水素化(メタン化反応および逆水性シフト反応)が顕著に抑制されることが分かった。この機構を明らかにするためにバナジウムの添加量が触媒上のバナジウムの微細構造や吸着特性、触媒特性に及ぼす影響を詳細に検討した。まずSTEM-EDS分析を行った結果、添加バナジウムは活性点であるNiナノ粒子の近傍に偏在しており、特にバナジウム添加量が少量の場合においてはアルミナ担体上にはバナジウムは存在せず、添加バナジウムのほとんどがNi粒子上および担体とNiの界面上に析出していることが確認された。X線光電子分光法によって触媒の表面組成を詳細に検討したところ、バナジウム添加量がNiの1/10まではバナジウムはモノレイヤー状に触媒上(特にNi近傍)に存在しており、それ以上ではある程度のサイズのバナジウム酸化物粒子が形成されることが分かった。 本研究の触媒の使用が想定される改質模擬ガス中の主成分であるCOおよびCO2の吸着特性を検討した結果、バナジウムが極少量(V/Ni<0.025)存在するとCOの吸着量が激減することから、バナジウムがNiの化学状態を変えている可能性が示唆された。 さらに担体上に存在するバナジウム酸化物によってCO2の吸着阻害が生じていることも明らかとなり、この担体上またはNi粒子と担体界面近傍のCO2の吸着阻害が熱暴走反応を抑制していることが示唆された。今後は最適なバナジウム量およびバナジウム添加方法を明らかとし、触媒活性を維持したまま熱暴走反応を効果的に抑制する触媒組成を明らかとする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究は順調に進展していると判断できる。その根拠としてまず、本研究の主の目的である熱暴走反応抑止効果の著しいバナジウム添加物を見出し、その特性発現機構を一定程度解明できたことが挙げられる。研究計画に挙げた触媒の微細構造も、透過型電子顕微鏡、走査透過型電子顕微鏡等を駆使して詳細に解析し、触媒構造と熱暴走反応の抑止発現の関係を明らかとすることができた。また一定条件下における触媒の寿命評価も実施した。これらの研究成果は、第112回触媒討論会、第23回北米触媒会議、第113回触媒討論会において発表し大きな反響を得ることができた。また熱暴走反応抑止剤の添加に関する論文を国際学術誌に投稿した。以上のことから本研究は順調に進捗していると結論した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、バナジウム添加量の最適化を図ると共に熱暴走反応をさらに効果的に抑止する触媒の構造(酸化物被覆構造)を検討する。さらに触媒の長期寿命試験、負荷変動時の耐久性等の検討も行い、実用触媒としての適用性の検討も進める。
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Research Products
(8 results)