2012 Fiscal Year Research-status Report
アッセンブリタイプペロブスカイト型酸化物の選択的酸化触媒への応用
Project/Area Number |
24560948
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
八尋 秀典 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90200568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 修平 愛媛大学, 理工学研究科, 講師 (50397494)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペロブスカイト型酸化物 / 配位高分子前駆体 / 形態制御 / 熱分解 / CO酸化反応 |
Research Abstract |
本申請課題では,均質なペロブスカイト型酸化物触媒を得るために, シアノ錯体の熱分解による調製法を用いている. Bサイト複核のペロブスカイト型酸化物LnFe(x)Co(1-x)O(3) (Ln : ランタノイド)を本法により調製し, これら触媒のCO酸化活性について検討した. さらに, Bサイトの部分置換効果やAサイト金属種が活性に与える影響について検討した. シアノ錯体Ln[Fe(x)Co(1-x)(CN)(6)]・nH(2)O (Ln = La, Pr , Sm, Gd, Dy, Ho, Er; x = 0~1)を合成し,各焼成体のXRD測定したところ,YbFe(0.5)Co(0.5)O(3)以外の試料ではペロブスカイト型酸化物に帰属されるピークのみが観察された. また,ペロブスカイト型酸化物由来のピークはFe添加量(x)とともに低角度側にシフトすること, 格子定数は(x)とともに直線的に増加し, Bサイトが精密に部分置換できていることが明らかになった.単一相が得られたLnFe(x)Co(1-x)O(3)のCO酸化活性において,Aサイトに関わらず, x = 0.5で最大活性を示し, FeとCoの共存による相乗効果が認められた. 一方, Aサイト金属種によるCO酸化活性への影響は小さく, Aサイト金属種よりもBサイト金属種の方がCO酸化活性に影響を与えることがわかった. 原料錯体をシアノ錯体からオキサラト錯体K(3)[M(ox)(3)] (M = Fe, Co)へ変えたところ,水溶媒では目的の配位高分子前駆体は得られなかったが,メタノール溶媒で目的の前駆体Sm[M(ox)(3)]を調製することができた.Sm[Fe(ox)(3)]を前駆体として,焼成温度を上げていくと600 ℃以上で目的のペロブスカイト型酸化物が生成し,その金属酸化物の表面積は小さくなることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の2つの大きな計画のうち、「①多核シアノ錯体などの前駆体の合成」に関して,配位高分子前駆体の代表例として,La[Fe(CN)(6)]・nH(2)Oを用いて種々の条件で検討を行った.その結果,生成する配位高分子前駆体の形状に対して,調製時の溶媒や溶液の濃度は大きな影響を与えるが,pH変化は大きな影響を与えないことが明らかとなった.また,シアノ錯体以外のオキサラト錯体を用いて,配位高分子前駆体を合成したところ,水溶媒では安定な前駆体が得られないが,メタノール溶媒を用いて合成することで,目的の配位高分子前駆体が合成可能であることが明らかとなっており,本申請課題は,当初の目的通りに進展している. また,「②シアノ錯体の熱分解によるアッセンブリタイプペロブスカイト型酸化物の調製」に関して,熱処理温度及び雰囲気が酸化物集合体の形成に与える影響について検討を行った.その結果,雰囲気として,空気・酸素・オゾンを用いたときには,酸化物形成に関して,ほとんど差異が見られないことがわかった.CO(2)雰囲気で焼成したところ,600 ℃以上でペロブスカイト型酸化物の生成が確認できるが,それよりも低温領域で熱分解を行ったところ,配位高分子前駆体やペロブスカイト型酸化物とは異なる相の形成が確認された.以上のように,雰囲気の制御により酸化物集合体形成に影響を与えることが明らかになっており,本申請課題は,当初の目的通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究方針である「①多核シアノ錯体などの前駆体の合成」と「②シアノ錯体の熱分解によるアッセンブリタイプペロブスカイト型酸化物の調製」を続行する。特に,①のシアノ錯体を用いた配位高分子前駆体の合成では,合成溶媒の違いによる形態変化に着目し,詳細に検討を行う.②の熱分解による酸化物の調製では,CO(2)雰囲気に着目し,新たに出現した相の帰属,H(2)O雰囲気が酸化物集合体の形成に与える影響について詳細に検討を行う. 平成25年度からは,「③調製できたペロブスカイト型酸化物の触媒調製の評価」を行う.評価方法として,気‐固反応として,CO酸化活性を行い,集合体が触媒活性に与える影響を検討する.また,液‐固反応として,シアノシリル化など酸塩基反応を行い,集合体形成が活性点に与える影響を検討し,新たな触媒設計の指針となるデータを得ることを目的としている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は,研究補助員の人件費,薬品類や各種標準ガスや調製用器具といった消耗品費,学会などへの成果報告や研究打合せのための旅費および愛媛大学の共通機器の使用量などに使用する予定である. また、平成26年度の研究費は,薬品類や各種標準ガスや調製用器具といった消耗品費,学会などへの成果報告や研究打合せのための旅費および愛媛大学の共通機器の使用量などに使用する予定である.
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[Presentation] Preparation of perovskite-type oxide catalysts, LnFe(X)Co(1-X)O(3) (Ln=La, Pr, Sm, Gd, Dy, Ho, Er, and Yb), by thermal decomposition of cyano complexes2012
Author(s)
Takahisa Okuwa, Yuji Iwasaki, Makiko Asamoto, Syuhei Yamaguchi, and Hidenori Yahiro
Organizer
International Symposium on Rare Earths in 2012
Place of Presentation
沖縄ハーバービューホテルクラウンプラザ(沖縄)
Year and Date
20121107-20121109
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