2013 Fiscal Year Research-status Report
ゼオライト細孔内活性制御によるメタン脱水素芳香族化触媒の高活性・高耐久化
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24560951
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
有谷 博文 埼玉工業大学, 工学部, 准教授 (40303929)
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Keywords | MTB反応 / 活性評価 / L殻XANES / 構造解析 / V修飾 |
Research Abstract |
MTB高活性・高耐久性触媒の設計として、前年度までの研究成果をもとにMo修飾H-MFI(Mo/H-MFI)触媒のGa局所置換による高活性化、および本触媒へのV修飾によるさらなる高活性化効果を中心にそれらの条件を検討した。当初計画に従い、失活抑制要因となる過剰脱水素抑制由来の炭素析出とともに、その抑制のためのCO添加前処理、および水素共存反応による失活抑制効果についても活性評価と析出炭素量評価の双方から検討を行った。 その結果、最も顕著な高活性を示したH-MFI組成比Si/Al2=40の担体を用いた場合について、Ga局所置換により初期活性のわずかな低下を示すが経時失活抑制効果を示し、共存組成比Ga/Al=50での最も高い高活性化および高耐久化効果が認められた。本触媒では水素CO前処理の効果には影響が乏しい一方、水素共存反応でのみ高活性および高い耐久性を示した。さらに、この条件にて、さらに少量のV修飾を行うことによりさらに高活性化を図れることが明らかとなった。Mo/V=10におけるV修飾では、メタン転化率をやや低下させるがベンゼン選択率の顕著な増大を与え、結果的にベンゼン高収率を与えることが明らかとなった。しかし失活抑制効果はわずかであったことから、H-MFI組成比Si/Al2=28での同様の修飾効果について検討した。その結果V修飾による初期活性の増大を示し、経時失活もやや抑制されることがわかった。これらの触媒のMoL殻XANESによる評価では、いずれの触媒でも部分炭化されたMo活性種の存在が認められ、V修飾等による影響には乏しいことがわかった。よって、酸量を保持しつつ酸強度抑制をさらに進めることにより炭素析出抑制を通じた高活性・高耐久化条件の検討か必要となると結論付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画からやや触媒材料の水熱合成による調製条件の確立に時間を要したものの、活性評価および構造解析は概ね当初の計画に沿って達成し、 高活性条件の検討およびその構造的因子の解明に関し総括可能な見通しとなる計画である。さらに当初予定にはなかったV修飾時の高活性条件の検討が一定の成果を含めつつ進められたことも特記される。 従って、本年度までの成果をもとに、本年度は活性評価にあてる研究遂行の割合よりも構造解析による活性因子の解明にシフトした研究進行が求められる段階である。本研究の総括も視野に入れつつ、当初計画に沿って高活性時のMo活性種の微細構造の解析を同時に進行し、高活性時の活性種の状態とその酸化還元的変化をあわせて検討する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果より、既存のMo-H-MFI触媒の高活性化・高耐久化のために必要な条件として、過剰の酸強度の抑制とともに酸量の保持、およびMo活性種の過剰炭化の抑制が必要条件であることが明らかとなった。これらをもとに、構造的因子の解明とその酸化還元的変化も含めた反応前後での構造変化を追跡することが次の段階として求められる。よってMFI型メタロシリケート細孔内外のMo活性種とその分散性、反応時の還元的構造変化について、Mo L殻XANESを基に局所構造解析を行うとともに、担体であるMFIについても、SiおよびAlのK殻XAFSからの検討を行う。これらは自然科学研究機構分子科学研究所UVSOR-IMSにおける軟X線分光法(放射光共同利用実験)によるが、研究代表者・連携研究者ともにその応用研究に精通している。以上より活性制御因子であるゼオライト骨格内の典型元素(Si・Al)局所構造変化、およびそれらが与えるMFI構造マトリックスの変化に対し、担体上のMo活性種ならびにその助触媒となるVOx種が与えるメタン脱水素初期過程の活性とその条件について明らかにし、活性因子に関する総括を加える計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の予算執行において、収支状況の通り少額の一部残高が生じた。これは旅費および消耗品費の支出における当初予定額からの若干の相違に起因したためである。 本繰越については少額であるため、次年度の研究実施計画の内容には影響せず、見込まれる消耗品費の追加分として組み入れ、所要額の全額を次年度に執行する予定である。
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Research Products
(6 results)