2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体デバイスを用いたバイオフィルムモデルの作成とバイオレメディエーション
Project/Area Number |
24560956
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
加藤 紀弘 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00261818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 行子(津田行子) 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (00533663)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞間情報伝達機構 / バイオフィルム / マイクロ流体デバイス / クオラムセンシング / マイクロカプセル / クオラムクエンチング / ヒドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
緑膿菌のバイオフィルム形成過程が、細胞間情報伝達機構クオラムセンシング(QS)により制御されることが報告されている。QS機構は、菌体密度依存性の遺伝子発現機構であり、多くのグラム陰性細菌において共通のシグナル分子としてN‐アシルホモセリンラクトン(AHL)が生産され、QS機構の活性化を制御している。増殖に伴いAHLが閾値濃度を超えることでQS機構が活性化されるため、AHLを分解し低濃度に維持することで緑膿菌のバイオフィルム形成を抑制可能となる。そこで、マイクロ流体デバイスを利用して作成した高分子カプセル内部におけるAHL分解細菌の共培養により、モデル病原菌のQS機構を抑制可能であること、高分子カプセル内部において緑膿菌を用いたモデルとなるバイオフィルム形成が可能であることを示した。バイオフィルムの形成状態は、緑色蛍光タンパク質GFPを発現する緑膿菌を遺伝子工学的手法により作成し、蛍光顕微鏡観察により評価した。蛍光観察により評価すると、高分子カプセル内部という狭小空間にバイオフィルムはどのカプセルにおいても再現性良く形成可能である。 遺伝子工学的手法により2種類のAHL‐ラクトナーゼを大量発現し、熱安定性を向上させるために電界紡糸法(エレクトロスピニング法)を用いて高分子ファイバーに包括固定化し、この固定化酵素を粉砕した。バイオフィルム形成能を有する緑膿菌を高分子カプセル内部に播種すると共に固定化酵素を封入すると、有意にバイオフィルムの形成を抑制可能であることが示された。 微生物を利用する環境修復(バイオレメディエーション)には、バイオフィルムの形成制御と安定なバイオフィルム付着担体の供給が重要であり、目的細菌から形成したバイオフィルムカプセルの大量生産技術は重要である。
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Research Products
(6 results)