2014 Fiscal Year Research-status Report
界面活性剤を利用した生分解性多孔質膜の内部・表面構造制御とバイオプロセスへの応用
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24560957
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 孝明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00217043)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多孔質膜 / 生分解性材料 / 生体材料 / バイオプロセス / バイオセパレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は界面活性剤(Tween 80など)を用いて生分解性プラスチック(ポリ乳酸など)を多孔質化することにより,分離膜および組織再生用足場材料の開発を目指す研究である。本年度は下記の検討を行った。 <1.ポリ乳酸製分離膜の内部構造形成機構> ポリ乳酸-1,4-ジオキサン-Tween 80-系溶液から水を非溶媒とする非溶媒誘起相分離法を用いて作製したポリ乳酸製濾過膜の内部構造の形成機構について検討した。ポリ乳酸-1,4-ジオキサン-溶液の水の滴下による相分離は,高分子溶液の温度を変化させて得られた相図から推算した少ない水分濃度にて生じることが示された。本研究で用いたポリ乳酸は光学純度(98.5%)が高く,その高い結晶性により,局所的な水分濃度の上昇により生じたゲルが攪拌しても再溶解しないためであると考えられる。キャストしたポリ乳酸溶液の水槽への浸漬時にも同様な現象が生じており,ポリ乳酸多孔質膜の構造形成には熱力学的な相分離挙動に加えて速度論的な現象が関与していると考えられた。溶媒へのTween 80を添加効果も速度論的な現象が関与していることを示した。これらの分離膜としての研究成果はJournal of Membrane Science誌に発表した。 <2.細胞培養用足場材料への応用を目指した製膜条件の最適化> ポリ乳酸-1,4-ジオキサン-Tween 80-水-系溶液から非溶媒誘起相分離法を用いて作製したポリ乳酸製多孔質膜を用いた骨芽細胞様細胞の培養を継続して行っている。非対称膜の粗い面側に細胞を播種して培養を行うと,指状の多孔質構造を利用して膜内部にまで細胞が増殖可能なことを示し,The 10th International Congress on Membranes and Membrane Processesにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポリ乳酸膜の多孔質構造の制御と分離膜への応用については,Journal of Membrane Science誌に発表したが,その際の査読対応に長期の実験が求められたため,足場材料への応用実験が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
界面活性剤を用いて構造を制御したポリ乳酸製多孔質膜を用いた骨芽細胞様細胞の培養および分析方法の検討を進めている。
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Causes of Carryover |
本年度の培養用薬品類の消費が見込みよりも少なかったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に物品費や旅費に使用する計画である。
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