2012 Fiscal Year Research-status Report
高基質特異性Lーアミノ酸オキシダーゼの特性解析と産業応用への基盤構築
Project/Area Number |
24560962
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲垣 賢二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (80184711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 勝巳 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40346143)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | L-アミノ酸オキシダーゼ / L-リシン α-オキシダーゼ / 異種発現系の構築 / X線結晶構造解析 / L-グルタミン酸オキシダーゼ / 基質認識機構 / 基質特異性の改変 |
Research Abstract |
糸状菌由来L-リシン α-オキシダーゼ(LysOX)は, L-リシンに対して高い基質特異性をもち, 抗腫瘍性活性を有することからバイオセンサーや抗がん剤への応用が期待されている。T. virideの本酵素の生産量は微量で大量調整は難しいので異種発現系の構築を試みた。その結果放線菌S. lividansでの発現系構築に成功した。液体培養で菌体外に分泌させるため, 精製が容易であり, コドンの最適化により発現量の増加も確認された。元菌による生産と比べて粗酵素液では約5倍, 精製酵素では約2倍ほど高い生産量で,これにより本酵素の大量精製系確立の道筋を付けることが可能となった。低基質特異性の酵素が多いL-アミノ酸オキシダーゼ(LAO)の中で,本酵素は高い基質特異性を示す。本酵素のX線結晶構造解析を行い, 基質認識機構の解析を行った。LysOXを精製,結晶化しSpring-8 BL41XUで回折データを収集した。解析は,蛇毒LAOを用いた分子置換法により行い1.9 Å分解能で構造を決定した。LysOXは他のLAOと同様に3つのドメインで構成され,結晶中で4量体を形成していた。LysOXの基質結合部位を蛇毒LAOの基質結合部位と比較すると,アミノ酸骨格の認識に関わる残基のコンフォメーションは保存されていたが,側鎖認識に関わる構造は大きく異なっていた。L-リシンとのドッキングシミュレーションの結果,L-リシンの側鎖アミノ基は,基質結合部位に存在するAsp212により認識されることとTrp371により基質結合部位の空間が狭められ,側鎖の大きいアミノ酸が入れなくなっていることが明らかになった。 一方 L-グルタミン酸オキシダーゼについても,R305L変異酵素のX線結晶構造解析に成功した。解析結果より,基質特異性が変化した理由及び野生型酵素の高い基質特異性の要因が推察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であったLysOXの異種発現系の構築とX線結晶構造解析に成功し, また異種発現系の構築が確立できたことから変異酵素の作成にも着手できるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 1. 大腸菌での異種発現系の構築 大腸菌を宿主とすることで短期間での大量発現系の構築を目指す。 2. 基質アナログ複合体のX線結晶構造解析, 部位特異的変異導入法などによる基質認識残基の特定と基質認識機構の解明 基質または,基質類似物との複合体状態でのL-リシン α-オキシダーゼの立体構造を明らかにする。また, 変異酵素を作成し, 基質認識に関わる残基の特定及び基質認識機構の解明を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定より実験が順調に行われ、予想していた程、試薬代が必要とならなかった。 今後は,これまでの実験結果を元に,更なる研究を行う上での必要な試薬の購入,研究成果発表を行う為の学会出張等の旅費に研究費を充当していく予定である。
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[Journal Article] Arg305 of Streptomyces L-glutamate oxidase plays a crucial role for substrate recognition.2012
Author(s)
Utsumi, T., Arima, J., Sakaguchi, C., Tamura, T., Sasaki, C., Kusakabe, H., Sugio S., Inagaki, K.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: 417
Pages: 951-955
Peer Reviewed
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[Journal Article] The Role of Amino Acid Residues in the Active Site of L-Methionine γ-lyase from Pseudomonas putida.2012
Author(s)
Fukumoto, M., Kudou, D., Murano, S., Shiba, T., Sato, D., Tamura, T., Harada, S., Inagaki, K.
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Journal Title
Biosci. Biotechnol. Biochem.
Volume: 76(7)
Pages: 1275-1284
DOI
Peer Reviewed
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