2013 Fiscal Year Research-status Report
高基質特異性Lーアミノ酸オキシダーゼの特性解析と産業応用への基盤構築
Project/Area Number |
24560962
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲垣 賢二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (80184711)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 勝巳 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40346143)
|
Keywords | L-アミノ酸オキシダーゼ / L-リシン α-オキシダーゼ / 異種発現系の構築 / X線結晶構造解析 / L-グルタミン酸オキシダーゼ / 基質認識機構 / 基質特異性の改変 |
Research Abstract |
L-リシン α-オキシダーゼ(LysOX)は, 糸状菌Trichoderma virideから生産されるL-アミノ酸オキシダーゼ(LAO)の一種である。高い基質特異性を持ち, 温度やpHに安定であることから食品工業分野においてバイオセンサーとして利用されている。しかしT. virideからの生産及び精製は困難であり,異種宿主による大量発現系の構築が望まれている。前年度の研究で放線菌発現系の構築には成功したが,培養日数が約20 日間と長く,工業化には非効率であると考えられた。そのため宿主に大腸菌E. coli BL21(DE3),ベクターにpET39bを用いた組換え発現系の構築を試みた。また真核生物由来であるLysOXのコドン使用頻度は大腸菌のものと大きく異なっている。このためコドンの最適化を行い,生産条件の検討を試みた。これにより,発現は微弱ながら,LysOXの活性を確認できた。 一方,L-グルタミン酸オキシダーゼ(GluOx)はStreptomyces sp. X119-6 株から生産される LAO の一種であり,厳格な基質特異性,pH および熱に対する安定性など優れた性質を有し,バイオセンサーに利用されている。これまでに活性中心の R305 残基が厳格な基質認識において最も重要な役割を果たすことが判明しており,R305 に変異を導入することで基質特異性が改変したL-ヒスチジンオキシダーゼ(R305L)とL-アルギニンオキシダーゼ(R305E)が得られている。そこで,新たにR305H変異酵素を作成し,精製および性質検討を行った。その結果,基質特異性に大きな変化が見られ,L-チロシンに対して高い活性を示す変異酵素が得られた。基質特異性が変化した要因を探るために,変異酵素の結晶構造解析を行う予定である。一方R305L 変異酵素のX線結晶構造解析に成功し,基質特異性改変の要因や反応触媒機構についての新たな知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸菌でのLysOXの発現系の構築に成功した。この系は,放線菌発現系と異なり,培養日数が大幅に短縮された。 GluOxから作成したL-ヒスチジンオキシダーゼ(R305L変異GluOx)について, 新たに結晶化およびX線結晶構造解析に成功した。また,GluOxから,第三の基質特異性改変酵素であるチロシンオキシダーゼ(R305H変異LGOX)の作成に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
大腸菌での大量発現系の構築(LysOX) 昨年度に作成した大腸菌でのLysOXの発現は微量であるため,応用研究には不向きである。このため,更なる条件検討を行い,大腸菌での大量生産システムの構築を確立し,機能解析に利用すると共に産業応用を目指していく。 新規な基質特異性改変酵素の作成およびプロセッシング機構の解明(GluOx) Arg305残基および他の活性中心残基への変異導入により,新たな基質特異性改変酵素の作成を目指す。また,GluOxはプロテアーゼのよる切断により成熟化し,活性や熱安定性が飛躍的に向上することが判明しているが,その詳細な成熟化機構は未だ不明であるため,プロセッシング機構の解明を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定より実験が順調に行われ,予想していたほど,試薬代が必要とならなかった。 これまでの実験結果を元に,更なる研究を行なう上での必要な試薬の購入に充当する。 また,海外での研究成果発表を2度行なう予定であり,その出張旅費に研究費を充当していく予定である。
|
-
-
[Journal Article] X-Ray crystallographic evidence for the presence of the cysteine tryptophylquinone cofactor in L-lysine ε-oxidase from Marinomonas mediterranea.2013
Author(s)
Okazaki, S., Nakano, S., Matsui,D., Akaji, S., Inagaki, K., and Asano, Y
-
Journal Title
J. Biochem.
Volume: 154(3)
Pages: 233-236
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-