2012 Fiscal Year Research-status Report
操船者への影響を考慮した自動着桟システムの研究開発
Project/Area Number |
24560984
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 忠胤 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70392686)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 最適制御 / ヒューマンファクター |
Research Abstract |
操船者の感覚に適応した最適着桟制御解の導出方法の研究において,水先人が操船シミュレータで着桟操船を行ったデータから,操船者の感覚に適応した船速,船首方位,岸壁までの横距離を分析し,操船上の安全マージンを抽出した.一方で,従来の研究で開発した最短時間着桟制御解を導出する計算アルゴリズムをベースに,多くの安全マージンを拘束条件として組み込んでも数値解を導出できる計算アルゴリズムの研究開発を行った.簡単な幾何的な安全マージンを設定する計算アルゴリズムを開発したが,数値解の収束性能が不十分であるため,今後も引き続き計算アルゴリズムの開発が必要である.なお,この研究の中で水先人が乗船時に入手するパイロットカードに記載されている船舶の情報から,船舶の操縦運動モデルを推定する手法を開発した.この研究成果は,自動制御に関する国際会議(WAC2012)へ論文として投稿し発表した.水先人が入手可能なパイロットカードから船舶の操縦運動モデルが推定可能となったことは,本研究の汎用性向上の面から考えて意義のある成果である. 拡張現実を用いた着桟操船実験システムの研究において,ARToolKitを用いてカメラ画像内のマーカー位置に桟橋の3Dモデルを表示させるアプリケーションの研究開発環境を構築した.そして,マーカー位置に既存の船舶3Dモデルを表示させるプログラムを開発した.本システムは,実船実験で着桟操船を安全に実施するために必要不可欠であり,ARツールキットの開発環境が構築できたことは,意義のある成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度は,①操船者の感覚に適応した最適着桟制御解の導出方法の研究については,以下の2つの項目の実施を計画していた.(1)着桟シミュレーション訓練のデータから操船者の感覚に適応した操船上の安全マージンを抽出する.(2)従来の研究で開発した最短時間着桟制御解を導出する計算アルゴリズムをベースに,多くの安全マージンを拘束条件として組み込んでも数値解を導出できる計算アルゴリズムの研究開発を行う. (1)については完成したが,(2)についてはまだ十分な成果を得ていない.しかし,(2)の研究の副産物としてパイロットカードの情報から操縦運動モデルを推定する手法を新たに開発することができた. また,③拡張現実を用いた着桟操船実験システムの研究については,ARToolKitを用いて,カメラ画像内のマーカー位置に桟橋の3Dモデルを表示させるアプリケーションの研究開発を実施項目と設定していた.桟橋の3Dモデル作成に着手できなかったが,その他のアプリケーションは,計画通り開発できた.
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Strategy for Future Research Activity |
操船者の感覚に適応した最適着桟制御解の導出方法の研究については,H24年度の研究に引き続き,多くの安全マージンを拘束条件として組み込んだ最短時間着桟操船問題の数値解を導出できる計算アルゴリズムの研究開発を行う.特に,数値計算の収束性能を向上させることに主眼を置いて研究を進める. 拡張現実を用いた着桟操船実験システムの研究については,前年度に開発したARアプリケーションをベースに,実海域上の任意位置に桟橋の3Dモデルを表示させるシステムを開発する.なお,実船にて被験者実験を繰り返し被験者からの情報をフィードバックしたシステム開発を行う.そのために,海上にマーカーを設置する環境開発を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
操船者の感覚に適応した最適着桟制御解の導出方法の研究については,引き続きプログラム開発を行う.一方で最適着桟操船問題のための安全マージンの設定方法について,人間工学と信頼性工学の手法を検討する.そこで,制御工学,人間工学,信頼性工学など広い分野の研究報告が集まるIEEEのSMC部門の国際会議に出席し,情報収集および研究者と意見交換を行う. 拡張現実を用いた着桟操船実験システムの研究については,海上にARマーカーを設置する環境を整えるためにブイや計測装置を購入する予定である.
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