2013 Fiscal Year Research-status Report
操船者への影響を考慮した自動着桟システムの研究開発
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24560984
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 忠胤 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70392686)
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Keywords | 最適制御 |
Research Abstract |
操船者の感覚に適応した最適着桟制御解の導出方法の研究において,水先人が操船シミュレータで着桟操船を行ったデータを分析し操船上の安全マージンを検討する中で,水先人は操船中に操船装置が故障(例えばサイドスラスターの故障)した場合を考慮している傾向が抽出された.そこで,操船装置のアベイラビリティについて検討を行った.特に高経年船において操船装置の故障が多いことを考慮し,高経年船の操船装置のアベイラビリティを推定するプログラムを開発した.この研究成果の一部は,米国電気電子学会のシステム・人・サイバネティクスのソサイエティの国際会議(SMC2013)へ論文として投稿し発表した. H24年度の研究の中で水先人が乗船時に入手するパイロットカードに記載されている船舶の情報から,船舶の操縦運動モデルを推定するプログラムを開発したが,風外乱下での船舶の操縦運動モデルを推定する機能を追加した.この機能追加により,風下での着岸操船の検討が可能になった. 拡張現実を用いた着桟操船実験システムの研究においては,ARToolKitを用いてWebカメラで撮影した画像内のマーカー位置を仮想空間の原点に設置し,任意位置に3Dモデルを表示させるプログラムを開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は,①操船者の感覚に適応した最適着桟制御解の導出方法の研究については,以下の2つの項目の実施を計画していた.(1)着桟シミュレーション訓練のデータから操船者の感覚に適応した操船上の安全マージンの再検討(2)従来の研究で開発した最短時間着桟制御解を導出する計算アルゴリズムをベースに,多くの安全マージンを拘束条件として組み込んでも数値解を導出できる計算アルゴリズムの研究開発を行う. (1)については操船機器のアベイラビリティを考慮することができた.(2)については,計算精度と収束に問題が残っている. また,③拡張現実を用いた着桟操船実験システムの研究については,ARToolKitを用いて,Webカメラで撮影した画像内のマーカー位置を仮想空間の原点に設置し,任意位置に3Dモデルを表示させるプログラムが開発できた.研究計画では,マーカーを洋上のブイに設置することを計画していたが,ブイの動揺の影響をプログラムで修正することが困難であることが明らかとなった.そこで,動揺計測が容易にできる船舶にマーカーを設置して,3Dモデルを表示するプログラムに変更を行った. 25年度は,所属組織の職務の一環として長期在外研究に従事したため,実船実験を実施することができなかった.しかし,次年度に実施を予定していた実船実験で被験者の応答を計測するための生体情報計測システムの情報収集と計測プログラムの開発を前倒しで実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
①操船者の感覚に適応した最適着桟制御解の導出方法の研究については,H25年度の研究に引き続き,多くの安全マージンを拘束条件として組み込んだ最短時間着桟操船問題の数値解を導出できる計算アルゴリズムの研究開発を行う.特にH25年度に開発した風外乱下での船舶の操縦運動モデルを利用し,風外乱のある場合の最適着桟制御解の導出に力を入れる. ②最適着桟制御解を追従する制御アルゴリズムの研究については,最適着桟制御解より導出される状態変数を制御目標として追従する制御アルゴリズムを開発し,実船実験を行いながらシステムの改善を行う. ③拡張現実を用いた着桟操船実験システムの研究については,H25年度に開発したARToolKitを用いて,Webカメラで撮影した画像内のマーカー位置を仮想空間の原点に設置し,任意位置に3Dモデルを表示させるプログラムをベースに,自船上にAR用マーカーを設置し実海域上の任意位置に桟橋の3Dモデルを表示させるシステムを開発する.なお,実船実験では被験者の生体情報を計測し,操船者への影響評価の基礎研究を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の所要額1,302,100円を予算額として,予算を執行したが誤差無く予算を執行することは難しく51円だけ予算を未執行となってしまった. 当該年度に未執行の51円については,次年度の直接経費その他で執行予定である.
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Research Products
(1 results)