2013 Fiscal Year Research-status Report
多変数適応極値制御手法による船舶エンジンの最適化制御
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24560987
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
水野 直樹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30135404)
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Keywords | 船舶制御 / エンジン制御 / 最適化制御 |
Research Abstract |
本研究では,船舶のエンジンの運転状況を最適化し,推進効率の低下を抑制すると同時に燃料消費率を低減することを目的としている.このため,本年度は,波浪外乱中を航行する船舶を想定し,(1)最適化手法の拡張と最適化する(2)制御系の構造の検討を行った. 具体的には, (1)の最適化手法の拡張では,これまでの研究で性能評価のもととなる評価関数としてエンジン回転数の変動とエンジンへの燃料噴射量の2乗和を一定時間積分する形式から,回転数変動の上下限の幅(振幅)と燃料噴射量の変動の振幅の重み付き和からなる評価関数へと拡張した. これにより,積分に起因する性能評価の遅れがによって最適化機構が不安定化することを避けるために,先に提案した最適化機構の修正がより容易になることを確認した. (2)の制御系の構造に関しては,これまでの研究では,波浪外乱の特性(周期など)を直接考慮せず,制御装置のパラメータを修正して性能向上を目指す手法から,制御系内に波浪外乱の周期に対応する内部モデルを導入し,そのパラメータを最適化する方法を提案した.これにより,操作量の制限がない場合,理論上性能を向上させる制御パラメータに向かって実際の制御系のパラメータが最適化によって自動的に修正されることを確認した. なお,昨年度の研究過程で,実験予定の船舶のエンジン制御系の更新や,必要なデータの取得が困難であったこと,また,その状況の改善が本年度も実施できなかったことから,本年度の研究は詳細なエンジン+船体の特性モデルを用いて実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記述したが,実験に使用する予定の船舶のエンジン制御システムを本研究用に改造することが困難でることが確定し,研究の進め方ををシミュレーション中心に変更したことが進捗がやや遅れいてる一因である. さらに,シミュレーションを高速に実行するために導入予定のハードウェアの導入が予定通りできなかったこと(製品のラインアップや販売形態が当初と変更されたこと)なども研究の遅れに関係している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進め方をシミュレーションを中心とした手法に変更したことで,本年度は最適化手法の拡張や制御系構造の改善手法を提案でき,今後の研究の方向性が明らかとなった. 今後は,シミュレーションを中心に研究を行う際に重要なシミュレーションモデルの改善および高速計算ハードウェアの導入を行うことで研究の進展速度を向上し,研究の遅れを取り戻す予定である. なお,実際の船舶エンジンを用いた実験の可能性は引き続き検討し,可能となった時点で実機試験も用いた提案手法の有効性の検証を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度予算により,シミュレーションモデル最適化用ソフトウェアおよび高速計算用ハードウェアの導入を予定していたが,前者に関しては,ソフトウェアの使用契約のため,年度当初の支払いが必要となり,相当額を次年度に繰り越した.また,導入予定の高速計算ハードウェアが開発・発売会社の出荷時期等の変更のため,年度内導入が不可能となった.このため,相当額を合わせて次年度に繰り越すこととなった. 最適化ソフトウェアの導入は次年度当初に行う予定となっている.s高速計算ハードウェアに関しては,出荷時期が決まり次第導入予定であるが,製品の出荷計画等が大幅に変更になった場合は,当初予定のハードウェアを変更し,本研究に適した他のハードウェアを検討導入の予定である.
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