2014 Fiscal Year Research-status Report
多変数適応極値制御手法による船舶エンジンの最適化制御
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24560987
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
水野 直樹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30135404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 船舶制御 / エンジン制御 / 最適化制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,船舶のエンジンの運転状況を最適化し,推進効率の低下を抑制すると同時に燃料消費率を低減することを目的としている. 本年度は,昨年度変更した研究方針に従い,シミュレーションを用いて波浪外乱中を航行する船舶のエンジン制御最適化を(1)大域的な最適特性の確認,(2)最適化手法の再検討を中心に検討を行った. 具体的には,(1)の大域的な最適特性の確認では,昨年度導入した,回転数変動の上下限の幅(振幅)と燃料噴射量の変動の振幅の重み付き和からなる評価関数と外乱の内部モデルを導入した制御系のパラメータを制御系の安定性が保証される範囲で変化させ,それに対する評価関数値をシミュレーションで求め,可視化することでその特性を確認した.その結果,対象としている最適化問題が大域的な最小値を有することが確認できた. (2)の最適化手法の再検討では,(1)で確認した大域的最適解の存在を前提としたパラメータの直接探索による最適化制御系を提案し,種々の条件で提案手法が最適な状態に収束することを確認した.その際に,最適化制御系自身の設定パラメータの決定方法に関して,システム同定の発想から自動設定する手法を提案した. なお,本年度も,実験予定の船舶のエンジン制御系の更新や,必要なデータの取得が困難であったこと,また,その状況の改善がなかったことから,研究は詳細なエンジン+船体の特性モデルを用いて実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記述したが,実験に使用する予定の船舶のエンジン制御システムを本研究用に使用することを引き続き検討しているが,種々の理由により実現に至っていない.また,研究の進め方をシミュレーション中心に変更したことで,新たな成果が出ているものの,当初の実験を含む提案手法の評価が十分できていない点が研究がやや遅れている一因である. さらに,昨年に引き続き,シミュレーションを高速に実行するために導入予定のハードウェアの導入が予定通りできなかったこと(製品のリリースが予定より遅れていること)なども研究の遅れに関係している.
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションを中心とした研究手法の変更は,新しい手法の提案とその有効性の確認に結びつき,これまでの成果を国内学会で発表,また,さらに進んだ成果を国際学会に投稿するなど,研究は進展している. 今後は,シミュレーションを中心とした研究を,シミュレーションモデルの改善および高速計算ハードウェアの導入で加速し,研究の遅れをさらに取り戻す予定である. なお,実際の船舶エンジンを用いた実験の可能性は引き続き検討し,可能となった時点で実機試験も用いた提案手法の有効性の検証を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本研究申請は当初実験を実施しながら開発した手法の評価を行う予定であった.そのため,実験に要する制御装置や実験実施費用,結果の解析に用いるソフトウェアの使用料金を支出資することを予定していた. しかしながら,実験を想定していた設備(共同研究を実施している東京海洋大学練習船)での実験が諸事情で困難になったためコンピュータシミュレーションを中心とした研究手法に変更した結果,実験費用が不要となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレーションの精度や計算速度を向上させ,実験に代わるものとするための高速計算ハードウェア(並列計算アクセラレータボード)およびソフトウェア(シミュレーション用専用ソフトウェア)導入費用,実験が可能となった場合の制御装置(耐候性パソコン)および実験費用,これまでに得られた研究成果を制御関連国内外学会で発表するための費用等への支出を予定している.
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