2013 Fiscal Year Research-status Report
舶用ディーゼルエンジンに適用するPM低減システムの実用化に関する研究
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24560993
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Research Institution | Toba National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
窪田 祥朗 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20290760)
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Keywords | 誘導加熱 / PM / ソフトスイッチング |
Research Abstract |
ディーゼルエンジンからの排気ガスには、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫化酸化物)、PM(粒子状物質)といった有害物質が含まれており、自動車用の浄化装置は一部実用化されている。しかし、船舶における同様のシステムは未だ開発中である。NOxとPMは、一方を低減するともう一方が増加してしまうといったトレードオフの関係にあり、ディーゼルエンジン本体の改良だけでは、両方を低減させることが難しい。そこで、本研究では、NOxを低減するように改良した舶用ディーゼルエンジンにおいて、増加したPMを低減させるためのPM低減システムについて開発、検討している。このシステムを実用化するには、 (1)PM捕集と加熱に最適なフィルターの検討 (2)フィルター加熱に適した電源の開発 (3)舶用ディーゼルエンジン運転時におけるPM低減システムの信頼性、安全性、耐久性の確認 の3工程が重要である。昨年度までに(2)のフィルター加熱用電源について検討し、本年度は(1)の最適なフィルターについて検討するため、PM低減システムを実際のディーゼルエンジンに据え付けた。その結果、PM低減システムにより、PMが低減することが実証され、その低減効果が得られた。本研究では、PMを捕集したフィルターの再生に誘導加熱を用い、非接触でフィルターを加熱することが特徴である。これにより、フィルターの温度制御が容易となり、また、フィルターの焼損や配線の断線といった問題が解決される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディーゼルエンジンからの排出ガスの中で、有害物質と考えられているPMは、非常に小さな粒子である。そのため、捕集フィルターは、小さい微粒子を捉えることができなければならないが、フィルターのメッシュを細かくしすぎるとすぐに目詰まりを起こす可能性がある。目詰まりを起こすと、ディーゼルエンジンの背圧が高くなり、エンジン出力への悪影響が懸念される。 PMを捕集しながら浄化することが理想であるが、その場合、排気温度がPM燃焼温度より低いため、排気ガスによってPM低減システムの捕集フィルターが冷却されてしまう。そのため、加熱温度を維持するために大電力が要求される。そこで、消費電力を抑制するために、フィルターはPMを捕集するだけとし、目詰まりを起こす前に予備のフィルターに切り換える方式を採用する。実際に、PM低減システムをディーゼルエンジンに据え付け、捕集フィルターによるPMの低減効果を検討した。その結果、メッシュを細かくすることでPMの低減効果が得られた。捕集されたPMは、誘導加熱を用いてPMが燃焼する温度まで加熱して浄化し、フィルターが再生される。このとき、提案した擬似可変コンデンサを用いる誘導加熱用電源をPM低減システムに適用することで、加熱温度が変化しても、共振追尾制御により、常にソフトスイッチングを維持し、安定に駆動可能である。 しかし、漏れ磁束によってPM低減システム周辺部への影響もあるため、捕集フィルターを高効率で加熱できない問題を解決する必要があり、今後、漏れ磁束対策を施して、無駄な電力を軽減させる方策を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
PM低減システムにより、PMが低減する効果は得られたが、実際にPM低減システムをディーゼルエンジンに装備することで発生する諸問題を解決する必要がある。特に、誘導加熱用のワーキングコイルから発生する漏れ磁束に対する処置が重要になる。さらに、排気管には、熱電対温度計や圧力センサが設置されているため、これらに影響が出ないようにする対策が要求される。ディーゼルエンジンの配管は金属で構成されていることから、漏れ磁束によって加熱されてしまうだけでなく、配管などの金属部に誘導起電力が発生する恐れがある。今後はこれらの影響について検証し、実用化への問題点を解決していく。 また、PM低減システムを装備したディーゼルエンジンを連続運転し、エンジン特性への影響、PMの捕集能力と耐久性について検討する予定である。その後、船舶へ装備する際の問題点の抽出とその対策について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
種々のフィルターを購入し、そのフィルター特性を検討する予定だったが、フィルター再生時における電力損失の解決策を優先的に検討する必要があるため、次年度、種々のフィルター材料を購入する予定である。まずは、漏れ磁束対策として、磁気シールド、絶縁材料を購入する。 漏れ磁束対策として、磁気シールド、絶縁材料を購入予定である。電力損失を軽減できた後に、最適なPM捕集フィルターについて検討するため、種々のフィルター材料を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)