2013 Fiscal Year Research-status Report
ホイッピングの荷重順序を考慮した疲労寿命評価に関する基礎的研究
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24560995
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
岡 正義 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (70450674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 敏男 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (10208267)
高見 朋希 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (50586683)
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Keywords | 疲労き裂伝播解析 / 嵐荷重モデル / ホイッピング / 船体振動 |
Research Abstract |
船の大型化・肥大化に伴い,ホイッピングやスプリンギングの船体振動の応力レベルが相対的に高くなり,これによる詳細構造の疲労寿命低下が懸念されている.ホイッピングやスプリンギングは,実船応力モニタリングで多数報告されているが,弾性振動が重畳した広周波帯域の波形に対して,損傷形態と関連付けた評価ができていないことも信頼性低下の一因と考えられる.本研究では、船のホイッピングを対象として、ランダム変動荷重が扱える疲労き裂伝播解析プログラムを構築し、実荷重に則した疲労き裂進展予測を行うことによって、船の生涯損傷リスクの低減を図ることを目的とする。 今年度は,実船甲板部の構造部材を対象に,疲労き裂伝播解析によって,ホイッピング減衰振動の重畳が疲労寿命に及ぼす影響を明らかにした.作用荷重は,長期の波浪遭遇順序を模擬した嵐モデルに加え,ホイッピングの応力モデルを新たに構築することで、実荷重を模擬した.疲労解析は、昨年度に構築した「き裂先端の塑性挙動に着目した結合力モデルによる疲労き裂伝播解析プログラム」をベースに、ランダム変動荷重に対応した改良を加えることで,ホイッピング荷重下での疲労き裂の加速遅延現象を考慮した疲労き裂進展予測を実現した. 解析の結果、ホイッピングの疲労寿命への影響は,ホイッピングの重畳波形の処理に強く依存することが分かり,ローパスフィルタ処理で得られる波浪成分波形による解析結果をホイッピングなしとみなして比較するとその影響は大きいが,高次振動による応力振幅の増加を考慮した包絡波形による解析結果と比べるとその影響は少なく,疲労き裂に関しては包絡波形での簡易評価が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたランダム荷重下での疲労き裂伝播解析プログラムの構築を完了し、さらに、この入力荷重を与える嵐荷重モデル及びホイッピング荷重モデルの作成プログラムとを連携させたシステムを構築している。今後は、構築したシステムを利用して、疲労の信頼性評価を行うことにより、疲労損傷のリスク低減が図ることができ、目的を達成できる。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したシステムによって、ホイッピングだけでなく、浮体の係留部分に作用するスパイク的な荷重や、浮体式風車や帆船等で生じる多数の周波数成分が重畳した荷重下でのき裂進展予測が可能になり、構造設計のさらなる高度化が実現する。また、船の航路や積荷の変更、あるいは船体き裂検知時の寿命予測に柔軟に対応でき、就航船の安全及び経済的利用に活用できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度と2年度はシステム構築が主であったためコンパイラ等を購入し、計算機等の高額物品の調達は見送ることとした。 システムを使用した大規模計算を想定しており、計算機の調達及び解析結果の整理のための人件費に使用する。また最終年度は、成果の公表にも精力的努め、これ係る旅費や投稿費用に使用する予定である。
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