2012 Fiscal Year Research-status Report
海中周囲雑音による物体映像化において雑音源位置が探知映像に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
24560999
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
森 和義 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 准教授 (70259894)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海洋科学 / 海洋工学 / 海洋探査 / 音響レンズ / 海中周囲雑音 / イメージング |
Research Abstract |
本研究では,周囲雑音イメージングにおいて,雑音源位置が探知映像に与える影響を調査する.ここで,ターゲットの背後に何もなく,ターゲットの前方に雑音源があり,ターゲット散乱波を受信ビームで捕らえることができる理想的な条件を前方照明と呼ぶこととする.また,ターゲットの背後に雑音源が存在するような場合には,一部の雑音は受信ビームに直接捕らえられ,他の一部はターゲットによって遮られるような状態になると考えられる.このような条件を後方照明と呼ぶこととする. 過去に得られた想定海域(内浦湾)の雑音源位置計測データを解析したところ,音源が主にテッポウエビであること,および,雑音源位置が概ね海底および計測バージの底面に分布しているという結果が得られた.計測バージの端に周囲雑音イメージング装置,反対の端にターゲットを配置する場合,受信ビームを水平方向に向け,その先にターゲットがあることになる.このとき,幅3m×高さ1mの平板ターゲットの後方散乱波強度を数値解析により計算したところ,ターゲット散乱波は強い指向性を持ち,イメージング装置の受信ビームに捕らえられる高強度の散乱波はバージ底面かつイメージング装置近傍の雑音源によって発生するものであった.つまり雑音源がターゲットの前方にある前方照明となり,ターゲット方向の受信ビームは他方向に比べて受信強度が強くなることがわかった.これより,想定海域において前方照明となる雑音源位置に対する探知映像は予測できた. 一方,後方照明においては,計測バージの端に設置したイメージング装置の受信ビームを海底方向に向け,雑音源とイメージング装置の間にターゲットが配置されることを想定する.このような想定の下,ターゲットが遮る雑音強度あるいは直接受信する雑音強度がイメージング装置の各受信ビームでどのように変化するかを計算する数値解析を進めているが,まだ解析の途中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点では,想定海域において前方照明となる雑音源位置に対する探知映像は予測できているが,後方照明における数値解析が完了していない.よって,後方照明となる雑音源位置に対する探知映像は予測ができていない状態である. 今後に行う実海域試験に備え,周囲雑音イメージング装置とターゲットを固定する治具を用意する必要がある.以前の研究により,既に前方照明における実験を行う環境は整っている.ここでは,後方照明の実験を行うために周囲雑音イメージング装置を海底方向に下向きに固定し,さらにターゲットをイメージング装置の下に吊り下げる治具を設計・製作する必要があるが,後方照明における予測ができていないことから,治具の設計・製作も完了していない.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に完遂できなかった後方照明における数値解析を早期に行い,探知映像の予測を行う.これより,実海域試験における後方照明時の周囲雑音イメージング装置の固定角度を確定し,装置固定およびターゲット吊り下げ用の治具の設計・製作を早期に行い,今後の実海域試験に備える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度前半には,今年度完遂できなかった後方照明における探知映像予測を行い,周囲雑音イメージング装置固定治具およびターゲット吊り下げ用治具の設計・製作を行う.この治具の製作には,今年度未使用分の研究費を用いることになる. 次年度後半には,雑音源空間分布が前方照明および後方照明となるような条件において,周囲雑音イメージング装置とターゲットを配置して実海域試験を行う.内浦湾に係留された実験バージにイメージング装置は固定され,またターゲットは吊り下げられる.ターゲットは取り外し可能な1 m×1 mのアルミ板3枚を横に一列に並べた物で,比較のため過去の研究と同じ大きさである.この実験では,計測バージを業者より借用するため,次年度の研究費を用いることになる.実験手順は下記の通りである. 1) ターゲットに取り付けたピンガより音波を放射して周囲雑音イメージング装置の視野角中央にターゲット中心が配置されるように位置合わせを行う.2) ピンガ出力を止めて,海中周囲雑音のみを用いてターゲットからの反射波・散乱波あるいは雑音自体をイメージング装置で計測する.このとき,同時に1対の正四面体アレイを用いて雑音源位置も計測して,雑音源空間分布を把握する.ここで,次の2つの条件を考慮する.まず,パネル組み合わせを1~3枚で変化させ,ターゲット形状による影響を調査する.そして,前方照明あるいは後方照明となるようにイメージング装置およびターゲットの配置を変化させて,その影響を調査する.
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Research Products
(14 results)