2012 Fiscal Year Research-status Report
CO2排出量削減を目指した省力・低環境負荷型露天採掘システムの構築
Project/Area Number |
24561000
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大塚 尚寛 岩手大学, 工学部, 教授 (40133904)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 露天採掘 / CO2排出量 / 低環境負荷 / GPS / GIS / 最適化採掘法 |
Research Abstract |
本研究は、最新のITを活用した省力・低環境負荷型の露天採掘システムの構築と、露天採掘および骨材生産に伴って発生するCO2の排出削減に関するLCA(ライフサイクルアセスメント)手法の確立を目的とするものである。平成24年度は、GPSを搭載した重機の使用による省エネ・高効率・最適化採掘法の開発を目指して研究を実施した。得られた研究成果は、つぎの通りである。 1.露天採掘場の稼働切羽は、採掘に伴い日々その形状が変化するため、地形測量を頻繁に行う必要がある。そこで本研究では、現有の地上型3Dレーザスキャナーを用いて、採掘切羽の状況を連続的・自動的に地形測量を行い、地形情報をリアルタイムにデジタルデータ化できるシステムを構築した。 2.原石ダンプトラックにモバイル型GPS(XGPS150)を搭載し、これをタブレットPC(iPad)とBluetoothによるペアリングを行うことで、オペレータが運転席に設置したタブレットPCのモニター上で、原石ダンプトラックの走行・運搬軌跡をリアルタイムに把握できるシステムを構築した。 3.2.で構築したシステムを、露天採掘における剥土・穿孔・小割・積込・運搬等の各作業工程で使用されるブルドーザー、クローラードリル、パワーショベル、ホイールローダ、原石ダンプトラック等の各機械に搭載して、稼働位置やサイクルタイムを「見える化」して把握できるシステムとした。 4.物流活動に伴うCO2排出量の算定法であるトンキロ法と地理情報システム(GIS)のネットワークシステム機能を利用して、砕石運搬過程におけるCO2排出量を可視化する「見える化」システムを開発した。このシステムを利用して、東日本大震災の復興資材として大量に需要が見込まれる砕石の被災地への運搬をシミュレーションすることにより、砕石運搬の最適化を検討することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、GPSを搭載した重機の使用による省エネ・高効率・最適化採掘法の開発を目的として研究を実施した。研究の目的の達成度は、つぎの通りである。 1.露天採掘場稼働切羽の地形情報をリアルタイムにデジタルデータ化できるシステムの構築については、現有の地上型3Dレーザスキャナーを用いて、採掘切羽の状況を連続的・自動的に地形測量を行うシステムを確立した。 2.1.で得られた地形情報から3次元の切羽データを作成し、原石の積込と運搬のサイクルタイムや原石運搬用道路の距離・勾配等の最適化を図ることが可能となった。 3.当初の研究計画では、MSAS信号の受信が可能であるGPS受信機とPDAを購入し、各重機に搭載することよりGPS受信機で得られる位置情報をPDAに入力するシステムとする予定であった。しかし、GPS受信機としては、精度が高く、操作性がより簡便で、タブレットPCにBluetoothによりペアリングリンクできる安価なモバイル型GPS受信機が見つかったので、これを採用した。このモバイル型GPS受信機の使用により、2.で作成した切羽地形図を背景図として、稼働重機の原位置や走行軌跡をタブレットPCのモニター上にリアルタイムで表示できるようになり、オペレータの安全対策にも配慮できるシステムとなった。 4.研究計画では、GPSで得られた稼働重機の位置情報を無線LANで中央管理システム用のホストコンピュータに転送し、1.で得られた地形情報に基づいて、各重機の作業工程をリアルタイムに制御できるシステムを開発する予定であった。しかし、採石場現場が市街地から離れた山間部にあるためb-mobileとの接続が不可能なエリアであり、無線LANによる転送システムが構築できなかった。平成25年度には、この問題を解決する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
”持続可能な開発”を実現するための環境調和型露天採掘方式の開発 1.自然環境の保全対策:(1)貴重な動植物への影響の軽減、生態系の基盤となる植生の回復、地域景観保全を目指した採掘区域の設定および修復緑化計画を策定できる採掘シミュレーションシステムを構築する。(2)貴重な動植物への影響の軽減を図る開発計画の策定では、露天採掘場周辺の植生・動物調査を実施し、これらの情報をGISを利用してデータベース化し、現地に生息する動植物の生態系を分断することがないような採掘計画を立案できるシステムを開発する。(3)生態系の基盤となる植生回復や修復緑化計画では、自然回帰型修復緑化法による露天採掘跡地の再生と環境保全機能の回復に関する研究成果を活用する。(4)地域景観保全を目指した採掘区域の設定および修復緑化計画の策定では、GISと高解像度衛星データを用いた露天採掘場の景観重要度予測、地形改変を伴う開発による景観変化の予測と評価、VRSを用いた露天採掘場の修復緑化シミュレーションと動的景観評価等に関するこれまでの研究成果を活用して、景観保全を考慮した露天採掘計画立案システムを構築する。 2.生活環境の保全対策:露天採掘に伴う騒音・振動、粉じん、水質汚濁、ダンプ公害等による周辺地域の生活環境への影響を最小化するための低環境負荷型の採掘・生産を可能にする環境リスク管理システムを構築する。 3.次世代型跡地利用法の提案:廃棄物最終処分場への転用も視野に入れた自然回帰型修復緑化による次世代型採掘跡地の有効利用法を提案する。この方法は、採掘跡地の平坦部を建設廃棄物等の堆積場として利用し、その上部に表土により緩傾斜の盛土を施し、マザーソイル工法を施工して在来種の導入を行い、自然回帰を図るものである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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