2012 Fiscal Year Research-status Report
ジオメカニクスを考慮したフラクチャー型油ガス田の回収率向上技術の開発
Project/Area Number |
24561004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 澄彦 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30273478)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EOR / フラクチャー型油田 / 水攻法 / 可視化実験 |
Research Abstract |
EOR流体の圧入圧力を変化させることでフラクチャー型油ガス田における原油・天然ガスの回収率を向上させる新たなEOR手法,具体的には,フラクチャー浸透率を相対的に低下させ岩質部にもEOR流体を圧入する技術とフラクチャー内のチャンネルを拡大させる技術の開発を目的としている。平成24年度は,単一フラクチャーを含む供試体に対して異なる封圧下でポリマー攻法の流動実験と流動可視化実験を実施することとしていたが,ピストン圧力容器の納品が遅れたため高圧下での実験室システムの構築が期間内に行えず,流動可視化実験に止まった。 流動可視化実験では,まず,縦300mm,横300mmの天然フラクチャーを含む大島花崗岩を採取し,フラクチャーの上部を透明エポキシ樹脂で,下部をシリコンゴムでそれぞれ複製することによりフラクチャー可視化モデルを作製した。次に,その可視化モデルを水平に置いた状態で油飽和した状態から水攻法実験を行い,その挙動を上部より観察した。その結果,フラクチャーの開口幅が小さい領域と開口幅が大きくてもフラクチャー下面の標高が高い領域には水が浸入せず,フラクチャー開口幅の分布とフラクチャー下面の標高分布が油掃攻挙動に影響与えることが分かった。これは,作製したフラクチャー可視化モデルの濡れ性がoil-wetであるために開口幅が狭くなるほど油から水に対して作用する毛細管圧力が大きくなること,フラクチャー下面の標高が高くなるほどそれを乗り越えるための流動ポテンシャルが必要となることが水の流動を妨げているためであると考えられる。以上のように,圧入された水のフロントにおける流動ポテンシャルの低下は,フラクチャー表面の濡れ性,開口幅分布,フラクチャー面の傾斜及び表面形状(標高分布),水の流入流出位置に依存し,これらによってフラクチャー内の油掃攻挙動が大きく変わるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は,単一フラクチャーを含む供試体に対して異なる封圧下でポリマー攻法の流動実験と流動可視化実験を実施することとしていたが,ピストン圧力容器の納品が大幅に遅れた。また,高圧下での実験に必要なシリンジポンプのコントローラが他の実験で使われてしまったため,コントローラのみを急遽導入することとなった。このため高圧下での実験室システムの構築を期間内に行えず,流動可視化実験を実施するに止まった。 また,フラクチャー内部の流体流動挙動をより現実に近づけ詳細に把握することをねらって可視化モデルの寸法を300mm×300mmと大きなものにしたため,可視化モデルの作成にこれまでの経験とノウハウを生かすことができず試行錯誤を繰り返したため,当初計画より大幅に手間取ったことも進捗の遅れの原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実施計画では,平成24年度に実施する実験が計画通りに進まなかった場合,平成25年度も未実施の実験を継続することとしていた。したがって,まず,高圧下での流動実験を実施する。次に,当初の研究計画にしたがって流動実験のシミュレーションを行うことで,岩質部に浸入するEOR流体(ポリマー溶液)の浸入領域,フラクチャーおよび岩質部における間隙圧力分布を評価する。なお,シミュレーションには既存の油層シミュレーター(IMEX)を用いて実施する。また,単一フラクチャーモデルに対してFEMによる力学解析を行い,フラクチャー開口変位と封圧及び間隙圧の関係からフラクチャー剛性を評価する。ここで,平成24年度に実施した間隙流体圧入実験のデータとのマッチングによりFEMの入力パラメータの調整を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として流動実験にかかる岩石試料および配管部品を購入する。また,シミュレーションには大型計算機を利用して実施する。 研究成果発表として,平成24年度の研究成果を国内では6月末に開催される石油技術協会春季大会にて発表する。
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Research Products
(2 results)