2013 Fiscal Year Research-status Report
放射性廃棄物処理材料としてのマイクロポーラスチタノシリケートの改質と評価
Project/Area Number |
24561005
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤原 惠子 山口大学, 理工学研究科, 助手 (50253175)
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Keywords | 希土類イオン / マイクロポータス結晶 / 放射性廃液 / 陽イオン交換 / XRD |
Research Abstract |
シリカの微粒子粉末をNaOH水溶液に溶かした溶液に塩酸に溶解した四塩化チタンを加え、室温で1時間撹拌した。得られた懸濁溶液を耐圧容器に移し合成温度100, 120, 150, 200℃で24時間水熱処理を行った。仕込み組成比は、TiO2/SiO2 = 0.32, Na2O/TiO2 = 4~14に変化させた。合成温度と仕込み組成が変わるとチタノシリケートであるAM2,CST,natisite が合成された。単相のNa-GTSは、4 ≦Na2O/TiO2 ≦ 5.6、水熱合成温度100 ℃で得られた。La3+とYb3+の GTS交換体は、単相のNa-GTS 0.5gをそれぞれ、1~24時間、室温でLaC13またはYbCl3の水溶液(25mL、0.01≦CLa(CYb)≦0.1M)で振とうした後、固液分離-洗浄して得た。Na4(1-x)M4/3x[(TiO)4(SiO4)3] ・nH2O (M=Yb, La)のxを交換率と定義し、EDX分析により交換率を求めた。0.05MYbCl3水溶液,振とう時間6hで交換処理して得られた試料の交換率は0.7、0.02MLaCl3水溶液,振とう時間3hで交換処理して得られた試料の交換率は0.3であったが、La交換体には、La2(CO3)3が析出していることがわかった。XRDパターンより格子定数はイオン交換により減少した。減少率はYb交換体では0.4%、La交換体では0.7%であった。溶液の濃度が大きくなると、100, 200, 211のピーク強度は小さくなるが、 110, 111のピーク強度は大きくなった。これより、希土類イオンの交換サイトとして一般的に知られている4eと6g siteの内、Yb交換体のYb3+イオンは、4e siteへ優先的に占有している可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単相のCSTは合成できていないが、AM2が合成できた。出発原料をKOH水溶液、高分散SiO2、TiCl4-HCl水溶液とし、K2O:TiO2:SiO2:H2O = 10:2:10:675の割合、合成温度200℃、24時間で水熱法により、単相のK-AM2が合成できた。 ゼオライトなどのマイクロポーラス結晶の希土類イオン交換体は触媒や蛍光材料として重要である。チタノシリケートであるETS-10型は、希土類のEuおよびEr交換体の研究はあるが、GTSの希土類イオン交換の報告がないので、La3+, Yb3+交換体を調製し、交換特性を調べることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Nicola Döbelinら(2005年)は、AM2が2価の遷移金属であるMn2+のイオン交換速度が、Sr2+やCs+より早いと報告している。そこでK-AM2において、Mn2+と同じ2価の遷移金属であるCo2+のイオン交換体について調べる。Co2+は放射性廃液などに含まれているので、イオン交換特性の検討は重要である。 希土類金属内で原子番号がLa3+とYb3+の間に位置する原子番号63のEu3+イオンの交換特性について検討する。調製したNa-GTS型チタノシリゲートの陽イオン交換体について、原子吸光分析法、FT-IR、XRD、TEM、などを用いた分析、評価を行なう。TG-DTA装置を用いて、脱水温度、含水量及び、チタノシリケートの骨格構造の安定性などについて検討する。 GTS型、AM2型のチタノシリケートは酸処理により交換性陽イオンがH+イオンに交換されると報告されているが、チタノシリケートに分類される層状構造を有するnatisite (Na2TiSiO5)のイオン交換特性については報告されていない。Na2TiSiO5においても酸処理によるH+イオン交換は可能であると考えられる。HNO3水溶液中で撹拌処理することによりH+イオン交換体を調製し、原子吸光分析法、FT-IR、XRD、TEM、などを用いた分析、評価を行なう。TG-DTA装置を用いて、脱水温度、含水量及び、チタノシリケートの骨格構造の安定性などについて検討する。
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