2013 Fiscal Year Research-status Report
XAFSによる水酸化物・硫化物処理法における不均一・不可逆反応機構の解明
Project/Area Number |
24561006
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
所 千晴 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90386615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼子 千弥 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80284280)
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Keywords | ホウ素 / シリカ / 亜鉛 / 水酸化物共沈法 / 表面錯体 / 表面沈殿 |
Research Abstract |
前年度までに水酸化物共沈法によるF(-I)、BおよびAs(V)処理における機構解明に取り組み、水酸化第二鉄ならびに水酸化アルミニウムによるF(-I)共沈、ならびに水酸化第二鉄ならびに水酸化アルミニウムによるAs(V)共沈に関しては、XAFS分析も含む多面的な実験的考察によって、その処理機構がほぼ明らかとなった。今年度は、全国の重金属汚染フィールドに対する調査で問題となっていることが明らかとなったBやSi、Znにターゲットを絞り、水酸化物による共沈機構の解明を試みた。 水酸化マグネシウムによるB除去では、X線分析および固体NMR分析より、共沈法を用いた場合には4配位のBの表面錯体形成による除去機構と、3配位のBの表面錯体形成ならびに沈殿生成による除去機構とが混在していることがわかった。また、初期Mg/Bモル比が高くなるにつれて、沈殿生成による除去が優勢になることがわかった。さらにこの沈殿は、塩基性炭酸マグネシウムに構造が類似しており、塩基性炭酸マグネシウム中のCO3がB(OH)3に置き換わったような鉱物が生成していることがわかった。 水酸化アルミニウムによるSi除去では、X線分析およびFT-IR分析より、共沈法を用いた場合にはSiの表面錯体形成による除去機構と、ケイ酸アルミニウムの沈殿生成による除去機構とが混在していることがわかった。この時、表面錯体形成による除去は瞬時に達成されるが、ケイ酸アルミニウムの沈殿生成による除去は反応速度が遅く、時間がかかることがわかった。また、初期Al/Siが高くになるにつれて、ケイ酸アルミニウム沈殿生成による除去が優勢になることがわかった。 水酸化アルミニウムによるZn除去では、X線分析より、表面錯体形成による除去が主であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国の重金属汚染フィールド調査により、As、F、B、Znに加えてSiについても水酸化物共沈法による除去の最適化およびその機構解明が必要であることが明らかとなったため、本研究では、これらの元素に対して水酸化物共沈法の機構解明を多面的な実験により試み、ある程度の機構解明を達成した。機構解明の結果、共沈法を用いた場合には表面沈殿生成等の不可逆機構が含まれていることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
As(V)、F(-I)、B、Si、Znに対して、水酸化共沈法による除去機構がある程度明らかになったことから、最終年度はこれらのデータを定量モデルの形で再現することを主な課題とする。具体的には、吸着法を用いて表面錯体モデルを完成させた後、共沈法のみで認められる除去機構である表面沈殿生成を再現するために、表面錯体モデルを拡張させた表面沈殿モデルを構築する。 フィールド調査より、個々の有害元素の除去に対して種々の共存イオンの影響を定量的に再現できることがモデルへの最重要課題であることがわかっているため、最終的にはそれぞれのモデルを組み合わせる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張時の宿泊費の節約等により、7,759円の次年度使用額が生じた。 次年度にて実験に必須である試薬購入費にあてる。
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Research Products
(11 results)