2013 Fiscal Year Research-status Report
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24561009
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
金子 栄廣 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60177524)
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Keywords | 生物系廃棄物 / 乾燥 / 燃料化 |
Research Abstract |
本研究は、既存の堆肥化技術を応用した新しい固形燃料製造技術の開発を目指すものである。具体的には堆肥化反応(好気的微生物反応)で普遍的に観察される「有機物分解に伴う発熱・昇温」と「好気的条件を維持するための通気」を効果的にコントロールすることによって効率よく対象となる生物系廃棄物を乾燥処理して燃料として価値のある製品を得る方法を検討するものである。 本研究では、1.生物系廃棄物の発熱量測定、2.対象廃棄物からの水分蒸発の定式化、3.反応材料の熱的特性および生物反応特性の把握、ならびに4.反応のシミュレーションプログラムの構築とその妥当性の検証を柱としている。 このうち、1.については昨年度中に検討を終え、対象とした生物系廃棄物は乾燥させれば燃料として十分利用可能な発熱量を保持していることが把握でき、本研究が目指す技術が幅広い生物系廃棄物に適用可能であることを示した。また、2.については昨年度「反応しない材料=発熱しない材料」を用いた乾燥実験で乾燥過程を定式化したので、本年度は「反応する材料=発熱する材料」で乾燥実験を行い、昨年度の結果と比較を行った。その結果、反応する材料を用いた場合には通気や周辺環境に比べて温度が高くなるため、反応しない材料に比べて乾燥が早く進むことが確認できた。また、通気量と乾燥速度の関係についても調べ、通気量が多い方が短時間で乾燥は進むが、温度上昇が鈍くなるために単位通気量あたりの水分持出量は少なくなることも明らかとなった。3.についてはすでに材料分解量、酸素消費量ならびに発熱量の関係を明らかにしており、今年度はこれに加えて酸素消費と材料昇温の関係についても把握した。また、4.を行うに当たりモデル廃棄物の比熱測定も行った。 4.についてはプログラムの作成に着手したところであり、最終年度に完成させたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画で平成25年度は2つのサブテーマを掲げていた。 1つ目は「反応材料の熱的特性および生物反応特性の把握」であった。これは後に着手するシミュレーションプログラム構築の基本となるものである。このうち、熱的特性については比熱と発熱量を把握できているため当面はこれで十分である。一方、生物反応特性については有機物分解、酸素消費、発熱および材料の温度上昇の関係は把握できた。ただし、有機物含有量と酸素消費速度や発熱速度の関係についてはまだ十分把握できていない部分もあるため、最終年度に検討を行う。 2つ目は「反応のシミュレーションと妥当性の検証」であった。このうちシミュレーションプログラムについては作成に着手している。ただ、一部に不具合があり完全なものにするにはもう少し時間がかかる見込みである。一方、妥当性を検証するのに必要な乾燥実験についてはデータを取得済みのため、おおむね終了していると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究の最終年度に当たるため、当初から最大の目的であったシミュレーションプログラムの開発に力を注ぐ予定である。 プログラム開発に関してはすでに着手しており、その骨格は完成しているが詳細な部分に不具合があるため完成はしていない。なるべく早い時期に不具合を修正して完動プログラムを完成させたい。 完動プログラムが完成次第、すでに取得済みの実験結果と照合して、シミュレーションの妥当性を評価するとともに、計算値と実測値のずれが大きい場合にはその原因を明らかにして、より精度の高いプログラムに改良する予定である。 また、前年度に実行できなかった有機物含有量と酸素消費速度や発熱速度との関係把握についても実験を行ってその関係を明らかにするとともに、シミュレーションプログラムに反映させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が健康上の理由で2月から4月初めにかけて入院することとなった。したがって、その間の研究遂行が困難となり、研究を一時的に中断せざるを得なかった。 このため平成25年度分交付金を使い切ることができず、余剰が生じてしまったものである。 平成25年度末の交付金残額については、平成26年度分の交付金と合わせて研究遂行に使用する。残額分はコンポスト化実験にかかわる物品費に充当する計画である。
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Research Products
(3 results)