2014 Fiscal Year Annual Research Report
廃貝殻の有効利用による新規晶析型脱リン材および重金属除去材の開発
Project/Area Number |
24561011
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩見 治久 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (60215952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 剛司 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (30178850)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 廃貝殻 / 石膏 / 漆喰 / 炭酸化 / リン除去 / 鉛除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,平成24年度,25年度の実験結果をもとに,廃貝殻粉-石膏複合リン除去材の改良を行った.これまで作成してきた廃貝殻粉-石膏複合体においても十分リン除去は可能であることが分かっているが,長期の使用あるいは繰り返し使用において,石膏の溶解による硬化体強度の低下により硬化体表面が崩れることが判明した.繰り返し利用を考えない場合は,表面の崩れは問題にならないが,繰り返しリン除去材として長期にわたり使用する場合にはさらに強度を上げる必要がある.そこで,漆喰の技術を応用し,硬化体の強度を向上させ,長期の利用に耐えられるよう改良を試みた.廃貝殻を900℃で熱処理し,CaOとした後,石膏と混合し,硬化させた.その後,炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を減圧下で含浸させ,30℃,0.3MPaの炭酸ガスで炭酸化処理した.石膏を混合し硬化させるときにCaOは全てCa(OH)2に変化するが,その後の炭酸化処理でCaCO3に変化し,硬化体表面を被覆するように析出することが確認できた.このCaCO3の析出層が保護層として働き,石膏の溶解を抑制することが分かった.石膏の溶解が抑制されることにより,硬化体からのカルシウムの溶解量は減少するが,リン除去に必要なカルシウム溶出量は確保でき,従来の廃貝殻-石膏複合体と同程度のリン除去能は得られた.また,長期にわたる使用においても表面の崩れがなく,繰り返し使用に耐えられるリン除去材が得られ,本実験においては,10日浸漬を10回行っても表面は崩れず,初期試料と同等のリン除去能を示すことが分かった. 次に,リン除去をおこなった後の硬化体を用いた鉛の除去において,昨年度まではpH3での鉛除去能を検討したが,本年度は,pH5および7での鉛除去を検討した.その結果,pHが高くなるにつれて鉛除去能が高くなり,pH7ではpH3に比較して,鉛除去速度が3倍になることが分かった.
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