2013 Fiscal Year Research-status Report
再利用不能鉄スクラップの再資源化を目指した多相精錬反応プロセスの構築
Project/Area Number |
24561012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 英樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283716)
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Keywords | 廃棄物再資源化 / 反応・分離工学 |
Research Abstract |
老廃鉄スクラップを選別することなく全量リサイクルするためには、鉄中Cuの除去技術を確立することが必要である。本研究では、Na2S系フラックスを用いた溶鉄の脱Cuに着目した。Na2Sが本来有するCu吸収能を活かすためには、Na2S単独のフラックスを用い、脱Cu に十分な硫黄ポテンシャルを確保した条件を実現する必要がある。この観点から、前年度、Feの共存しない条件下でNa2S系フラックスのもつ本来の脱Cu能 (Cu吸収能)を把握するため、1473Kにおいて、Na2S系フラックスと溶融Ag間のCu分配比を系の硫黄ポテンシャルを変化させて測定し、Na2Sフラックス-Ag間のCu分配比(5~42)を得た。その結果から、Ag相を媒介相として用いた場合、炭素飽和溶鉄とNa2Sフラックス間におけるCu分配比として、40~330の高いCu分配比が期待できることが明らかとなった。 本年度は、実際にAg相を介した溶鉄中Cuの硫化除去実験を行った。本研究はFe, Ag相のうちAg相 (Ag中Cu) のみを硫化することで、鉄を硫化させることなく、Na2S系フラックス単独の高塩基性条件で溶鉄の硫化脱Cuを行うことが要点である。Feよりも比重が大きいAgのみに脱Cuフラックスを接触させるため、試料の配置を工夫して炭素飽和溶鉄とNa2S フラックスが直接接触しない条件を実現させて実験を行った。その結果、溶鉄中Cu濃度は初期濃度が0.1 mass%から0.06 mass%まで低減された。また本実験における溶鉄中S濃度は、NaS0.5-FeS, LiS0.5-FeSフラックスを用いて直接脱Cuを行った文献値よりも小さく抑えられた。フラックス-Fe間のCu分配比として51を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際にAg相を介した溶鉄中Cuの硫化除去実験を行い、提案する方法により実際に溶鉄中Cuの硫化除去が可能であることを明らかにした。また溶鉄中S濃度は、低く抑えられることがわかった。フラックス-Fe間のCu分配比として51を得た。これらから、おおむね当初研究実施計画通りに、研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究により、本研究で提案する新しい原理に基づく脱Cuの効果、脱Cu能力が明らかとなり、その基礎が確立した。本年度は、Ag相を介した溶鉄中Cuの硫化除去を最適な条件で行うために、速度論的検討を行う。 まず、脱Cu処理をおこなう硫黄ポテンシャルの制御が重要である。脱Cuを効果的に進めるためには高い硫黄ポテンシャルが望まれるが、硫黄ポテンシャルを上げすぎるとAg中に硫黄が溶解し、Ag相を介して溶鉄中硫黄濃度が上昇する可能性がある。鉄中硫黄は除去が必要な有害元素であるので、できる限り鉄中硫黄濃度の上昇を抑えたい。また硫黄ポテンシャルを上げすぎるとAgが硫化する可能性もある。従って、脱Cuに必要十分な最適な硫黄ポテンシャルを調べる必要がある。そこで前年度行ったAg相を介した溶鉄中Cuの硫化除去実験を、硫黄ポテンシャルを制御した条件下で行って溶鉄中Cu, Sの濃度変化を調べる。また硫黄はAg相を介して鉄中に移動するので、Cuのフラックスへの移動とともに移動現象について調べ速度論的検討を行えば、最適な制御が可能となる。それらを通して、硫黄の鉄中への移動を抑制しながらCuをフラックス中に吸収できる、脱Cu処理に最適な条件を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費を含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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