2014 Fiscal Year Annual Research Report
再利用不能鉄スクラップの再資源化を目指した多相精錬反応プロセスの構築
Project/Area Number |
24561012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 英樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283716)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 廃棄物再資源化 / 反応・分離工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
老廃鉄スクラップは将来にわたり増加が見込まれ、利用拡大が望まれている。鉄スクラップ中に含まれるトランプエレメントは鋼の性質に悪影響を及ぼすが、効果的な除去方法は確立されていない。本研究では、FeがAg, Pb, Caなどと熱力学的に強い斥力を有し、高温で2液相分離することに着目し、その性質を利用した溶鉄中トランプエレメント(Cu, Sn)の除去について検討した。溶鉄中Cuの除去に有望な方法の一つとして硫化除去があるが、硫化物フラックスを直接Feに接触させて硫化すると、Feも同時に硫化されてフラックスのCu吸収能が低下する。本研究ではAg相を媒介相として用い、Ag相を介した溶鉄中Cuの硫化除去について検討した。本方法では、媒介相によりFeの硫化を抑制し、高い硫黄ポテンシャル条件でCuを硫化除去できることが期待される。本原理に基づき、Ag相を介した溶鉄中Cuの硫化物フラックス(Na2S)中への除去を試み、Na2Sの有する高い脱Cu能力ならびに本手法により高い脱Cu効果が得られることを明らかにした。さらに本手法による脱Cuの最適条件を把握するため、Ag相中Cu, Sの移動について速度論的検討を行い、Sの鉄中への移動を抑制しつつCuをフラックス中に吸収するための脱Cu処理に最適な条件を明らかにした。一方、Caは強い還元力を有しCu, Snと親和性が高いため、脱Cu, Snに直接有効である可能性があるが、Caは高温で活性なため使用が難しい。そこで高温でCa相を安定に保持するため、溶媒によるCa活量の制御を検討し、Ca-Pb合金として用いることで高温で溶鉄と2液相分離状態で安定に保持できることを明らかにした。また、実際にCa合金と溶鉄を高温で平衡保持し、Ca合金-溶鉄間のCu, Snの分配挙動を調べ、Cu,Snの除去に有効な高い分配比を得た。
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Research Products
(5 results)