2013 Fiscal Year Research-status Report
廃棄系バイオマスを用いた環境調和型多機能水処理剤の開発と高分子材料への展開
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24561018
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
下古谷 博司 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90249805)
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Keywords | 廃棄系バイオマス / 再利用 / 吸着 / マイクロ波加熱 / 液状化 |
Research Abstract |
25年度は,廃棄系バイオマスであるオカラのもつ可溶性色素吸着能と金属イオン吸着能に注目し,染色色素であるクリスタルバイオレットに対する吸着特性と金属イオンとして原発問題で話題にあがっているセシウムイオンに対する吸着能について評価した。今回対象とした可溶性色素であるクリスタルバイオレットの吸着特性を調べるに当たり,pHの影響やオカラ添加量の影響など基本的吸着条件について検討した。また,対象金属イオンに用いたセシウムイオンの吸着については,クリスタルバイオレットと同様に基本的吸着条件について検討した。その結果,いずれも場合にもオカラに対して比較的良好な吸着結果が得られた。 廃棄系バイオマスであるオカラに対して,これまで検討してきた結果をまとめるとオカラは,カオリン懸濁液中のカオリン懸濁粒子を凝集沈殿させる能力と有色溶液から可溶性色素を吸着できる能力並びに溶液中に溶存している金属イオンを吸着できる能力の三つを兼ね備えていることが明らかとなった。現時点ではこれら3つの能力を示す成分が同一のものであるのか,あるいは,独立した成分であるのかは不明である。今後明らかにしていきたい。ただ,オカラを過塩素酸処理した後,試料として吸着試験に供すると少なくとも色素結合能は低下する減少が確認されており,色素分子の吸着成分としてタンパク質が関係していることが示唆された。 一方,廃棄系バイオマスに対するマイクロ波加熱法を利用した液状化に関する研究については,コメ粉を試料とし最適液状化条件等について検討したところ,通常のヒーターや油浴などを使用した外部加熱法に比べ短時間で液状化できることが分かった。また,得られた液状化物から合成したポリウレタンフィルムはアカマツなども木材由来のものから合成したものと同等な機械的性質を示した。以上のことから,本研究は概ね予定通りに進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,廃棄系バイオマスを用いた環境に優しい高性能多機能水処理剤への応用を考えている。平成24年度,25年度ともに,試料としてオカラを使用し,このオカラに可用性色素吸着能や金属イオン吸着能を有することを明らかにしており,また,対象色素や金属イオンの種類も増えたことを踏まえると概ね計画通りに進行している。これまでに得られた検討結果を考察するとオカラには凝集能,可溶性色素吸着能,金属イオン吸着能の少なくとも3つの機能を有していることが明らかとなりつつあり,また,その吸着に関与している成分がオカラに含まれるタンパク質である可能性が示唆されている。従って,当初の計画に沿って概ね進行していることから,環境に優しい高性能水処理剤への展開としては「研究の目的」の達成度は概ね順調に進展していると言える。 一方,化学を変えると言われるほど急展開を見せているマイクロ波加熱法を用いた廃棄系バイオマスの液状化に関する検討事項についても,コメ粉などを試料としヒーター等を利用した外部加熱法に比べ短時間で効率よく液状化できることを明らかにしており,液状化に関しても「研究の目的」の達成度はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
オカラには凝集能,可溶性色素吸着能,重金属イオン吸着能の少なくとも3つの機能を有していることが分かってきた。しかしながら,各機能を調べるにあたり対象とした可溶性色素や金属イオンの数は決して多いとは言えず26年度も対象試料を変えて実施し多機能水処理剤としての付加価値を高めていきたい。また,各機能に関与している成分がどのようなものであるのかは不明であるが,過塩素酸分解法を用いて,色素吸着能に対する能力が低下することを突き止めており,少なくとも色素吸着能にはタンパク質が関与していることが示唆されている。そこで,色素吸着能を含め各機能に関与している成分についてさらに詳細に調べていきたい。また,オカラなどの廃棄系バイオマスを利用した水処理剤の能力が,現在汎用されている活性炭に比べてどの程度のものなのかを比較検討することも必要と考えており,さらに,可能であれば実廃水等に適用しその能力の検証を実施したい。 一方,廃棄系バイオマスのマイクロ波加熱法による液状化については,今年度はコメ粉を試料とし,得られた液状化物と多価イソシアナート化合物とを反応させポリウレタンフィルムを合成し,次いで,得られたポリウレタンフィルムの引張り強度等の機械的性質について検討したところ,木材由来のバイオマスから得られたものが有する性質と同等であることが示された。今後は対象を広げていきたい。また,近年注目されているイオン液体を溶媒に用いてオカラの酸分解挙動について調べたところ,マイナー成分としてエタノールが生じていることが示唆された。従って,この現象について詳細に調べていきたい。さらに,可能であればリサイクル困難とされるFRPのイオン液体を用いた化学的再利用についても検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が所属する鈴鹿高専・材料工学科では,建屋(材料工学科棟)の改修工事が平成25年度に予定されていなかったが,高専機構より前倒しで実施する旨の連絡があり,建屋の改修工事が実施されることとなった。そのため,4月から10月までの期間は改修工事の期間となり,主に研究を実施している材料工学科棟が使用できない状況となった。そのため,購入予定であった大型の攪拌振盪恒温機の設置場所が確保できなかったことから,次年度使用額として935,491円を残すこととなった。しかし,研究事項についてはできる限り他の実験室等を使用し支障が出ないように努力した。 平成26年度は,イオン液体によるオカラの酸分解で生じていると思われるマイナー成分であるエタノールの分析のため,ガスクロマトグラフィーの購入を考えている。ガスクロマトグラフィーを購入できればエタノールの生成を容易に検証でき,高付加価値化が期待される。また,各種実験に使用する試薬やガラス器具等の消耗品を購入するための費用や研究成果をシンポジウム等で発表するために必要な旅費等も計上する予定である。
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Research Products
(5 results)