2013 Fiscal Year Research-status Report
分光学的手法による超高濃度トリチウム水の自己放射線分解反応の研究
Project/Area Number |
24561022
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小林 かおり 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (80397166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正憲 富山大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00334714)
尾関 博之 東邦大学, 理学部, 教授 (70260031)
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Keywords | 核融合 / 分子分光学 / 物理化学 / 近赤外分光 / トリチウム |
Research Abstract |
核融合装置では水素の放射性同位体であるトリチウムガスの大量使用が想定されている。トリチウムガスは環境中に漏洩した際には、速やかに酸化され水分子中の水素がトリチウムに置き換わったトリチウム水を生成する。このため、トリチウム水の測定技術、トリチウムの酸化反応を知ることは極めて重要である。 昨年度、構築した二重管のセルは、光路を確保するビューポート部分以外はステンレス製である。さらに、漏れのない気密構造とするため、配管の継ぎ手は真空継ぎ手であるICFあるいはVCRとし、バルブにはベローズバルブを使用した。今年度は、セルに接続するトリチウム水生成・貯蔵を行うリザーバ部分の作製と2Ciの超高濃度のトリチウム水の合成を行った。リザーバ部分内の酸化触媒は、トリチウム水の放射線分解で還元したトリチウムガスを再酸化しトリチウム水へと変換できる。これにより、閉鎖系内でトリチウム水の取扱いができ、その有効利用が図られる。ここまでで、分光セルを含めてのトリチウム水の取扱い装置の構築が終わったことから、2Ciのトリチウムガスを酸化させ超高濃度のトリチウム水を合成した。このトリチウム水を外部共振器型半導体レーザー(帯域7200から7400cm-1)を用いた近赤外分光法により、水分子の1つの水素がトリチウムに置換されたトリチウム水の高分解能スペクトルを得た。得られたスペクトルは量子化学計算と比較され、帰属を行った。さらに、測定中の圧力変化より、トリチウム水の放射線分解に起因する圧力上昇が観測された。このような分解生成物を再加熱することで、液体窒素にトラップできない成分を減少させることができ、トリチウムの廃棄を避けることができることについても確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に準備した二重管セルを用いてトリチウム水の合成および再合成を行い、近赤外レーザー分光法によってトリチウム水の分光観測と、圧力変化の測定による反応に関する基礎的な情報を得ることができた。概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
軽水の水素が2個置き換わったトリチウム水やOTラジカル等が測定されると期待される周波数帯は本年度に測定した領域よりも低い周波数帯にある。この周波数帯のレーザーを用いて、これらの分光計測を行う。全体の圧力も引き続き計測して、反応理解のための基礎データとするが、今年度は昨年度計測したトリチウム水(HTO)のスペクトル強度の時間変化による分子のモニターを目指した測定も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者との直接打ち合わせの回数を1回減らしたことによるものである。 翌年度の旅費として活用する予定である。
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Research Products
(3 results)