2012 Fiscal Year Research-status Report
赤外線吸収分光法による炉内炭素ダスト生成過程観測技術開発とモデル構築
Project/Area Number |
24561027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
剣持 貴弘 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (10389009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 元 同志社大学, 理工学部, 教授 (30201263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究グループで設計・製作した小型炭素ダスト生成装置を用いて炭素ダスト生成実験を行い,μメートル程度の炭素ダストの生成を確認した.実験は,真空容器に炭素製の内壁を挿入し,炭素壁内にArプラズマを生成し,Arプラズマと炭素壁との相互作用により,炭素ダストを生成した.今年度は,特に炭素ダスト形成過程の経時変化,炭素ダストの装置内位置による生成量の違いに焦点を当て実験を行った. 炭素ダスト形成の経時変化については,Arプラズマ4時間放電と8時間放電後の炭素ダストサイズ,形状を電子顕微鏡を用いて観察を行った.電子顕微鏡による観察により,炭素ダストサイズは,放電時間が長い方が大きいという結果が得がられた.ダスト形状については,現段階では,定性的な結論を得るには難しいが,フレーク状,カリフラワー状の炭素ダストが確認された.本実験では,放電時間が4,8時間だけであったが,今後さらに長時間の放電実験を行う予定である. 装置内ダスト生成量分布については,装置内の4か所(陽極上部,陽極中部,陽極下部,炭素筒)にカーボンテープを付け,Arプラズマ放電後,カーボンテープに付着した炭素ダストを回収し,その生成量を電子顕微鏡を用いて評価した.その結果,ダスト量は陽極上部に最も多く炭素ダストが付着することを確認した.炭素ダストが負に帯電しているために陽極上部に炭素ダストが多く付着したものと考えられる. また,炭素ダスト形成過程を赤外線吸収分光法を用いて観測するためフーリエ変換赤外線分光システムをベースに光学測定系の設計を行った.平成25年度の早い段階で,炭素ダスト実験に使用している装置に取り付け,赤外線吸収分光法を用いた炭素ダスト形成過程の観測を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭素ダスト生成装置を設計製作し,装置真空容器内でArプラズマ放電することによりμメータサイズの炭素ダストを電子顕微鏡観察により確認した.生成された炭素ダスト形状については,フレーク状、カリフラワー状、球状のものが確認されてた.本実験に使用する装置が正常に機能し,炭素ダスト実験に使用可能であることを確認した.また,炭素ダスト形成の経時変化を観測するためのフーリエ変換赤外分光システムをベースにした光学系を設計を終え,現在光学系を製作中である.今年度で炭素ダスト生成装置の設計・開発は大部分終えており,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
設計したフーリエ変換赤外分光システムをベースにした炭素ダスト成長過程観測系の構築を進める.並行して,赤外線吸収分光法を用いた観測データにはノイズが多く含まれることが予想されることから,古典分子動力学コードにより,Arプラズマ(または水素プラズマ)と炭素壁との相互作用によりどのような炭化水素分子が形成されるかを予測し,第1原理シミュレーションコードGaussian09を用いて,予測される炭化水素分子の赤外線吸収スペクトルを解析する.観測データとシミュレーション解析結果を比較検討することにより,炭素ダストの成長過程のモデリングを進め,また実機における炭素ダスト形成評価に赤外線吸収分光法が適用可能か検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張旅費:10,101円
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