2012 Fiscal Year Research-status Report
中性子バックライト手法を用いた慣性核融合爆縮コア計測の可能性の探求
Project/Area Number |
24561028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
尾崎 哲 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50183033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 安信 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 講師 (90624255)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | LFEX / γn中性子 / 高速電子 / X線 / 中性子検出器 / 電子分析器 / 激光12号 / マンダラ |
Research Abstract |
LFEXレーザーをターゲットに照射して強力な中性子を発生させることができた。レーザーのエネルギーは1kJを越え、パワーは10^19W/cm2を越える。用いたターゲットは、アルミ、金、銅の薄膜、金コーン、DLCコーン、金およびDLCコーンにポリスチレンのシェルを付加したものを用いた。高速点火の実験と並行して行ったため、コーンシェルターゲットでは必要に応じて激光12号により爆縮を行った。 中性子の計測は、液体シンチレータ光電子増倍管のほかバブル検出器、マンダラ多チャンネル検出器を用いた。また、高速電子とX線の計測のため電子分析器を設置した。発生のメカニズムは、重水素ターゲットを用いたときに起こるDD核反応中性子のほかにγn中性子がある。これは激光12号レーザーによる高速電子がターゲット中で停止し強力なX線を発生し、そのX線が周辺の鉄などとγn反応を起こし中性子を発生するもでである。しかしながら、実験を進めていくうちに、X線が明らかに少ないのにDD反応中性子ではなく中性子発生量の増加が観測された。ごの原因を精査したところ、高速電子に伴って加速された陽子や重陽子などがターゲットに衝突し核破砕を起こしている可能性が疑われた。これは過去の実験でポリスチレンなどの低Zターゲットで多量の中性子が観測されたり、重水素ターゲットを用いない場合でも中性子が観測された原因が理解できるようになった。 現在、ターゲットに対する依存性、X線発生と中性子の発生の相関を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LFEXは測定に必要な強度に概ね達成しており、レーザーのエネルギーは1kJを越え、パワーは10^19W/cm2を越える。初年度の最大の目的は、中性子発生の再現である。アルミ、金、銅の薄膜、金コーン、DLCコーン、金およびDLCコーンなど各種のターゲットを用いて中性子を発生することに成功した。 今年度の成果は、発生のメカニズムが少しずつ解明できたことである。重水素ターゲットを用いたときに起こるDD核反応中性子のほかにγn中性子がある。これは激光12号レーザーによる高速電子がターゲット中で停止し強力なX線を発生し、そのX線が周辺の鉄などとγn反応を起こし中性子を発生するもでである。しかしながら、実験を進めていくうちに、X線が明らかに少ないのにDD反応中性子ではなく中性子発生量の増加が観測された。ごの原因を精査したところ、高速電子に伴って加速された陽子や重陽子などがターゲットに衝突し核破砕を起こしている可能性が疑われた。これは過去の実験でポリスチレンなどの低Zターゲットで多量の中性子が観測されたり、重水素ターゲットを用いない場合でも中性子が観測された原因が理解できるようになった。 現在、ターゲットに対する依存性、X線発生と中性子の発生の相関を解析中であるが、レーザー電場によるイオンの加速に起因していることが明らかである。
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Strategy for Future Research Activity |
中性子源として用いるためにはX線を如何に低減するかが重要である。中性子を発生させる機構がγn中性子に留まらないことから、低Zのターゲットを用いX線の発生を抑えることが可能になる。 中性子発生量をいかに増やすかが次の目標になる。高速点火実験では、DD中性子以外はノイズとなるためターゲット設計はその方向に向かう。LFEXの稼働時間から限られたマシンタイム中では、多くの実験時間が割かれている高速点火実験に相乗りで実験をすることは重要である。その実験の中でDD中性子以外の中性子を増大させるターゲット設計が鍵となる。 続いて中性子イメージング検出器の開発が次のステップになる。現在考えているのは中性子用イメージングプレートであるが、バブル検出器も対象になる。問題は、(1)十分な強度が得られるか(2)X線との弁別(3)十分な観測場所が確保できるかどうかである。(1)についてはターゲットを交換しながら最適解を見つける。(2)については、スタック法により差を取ることで弁別する、(3)については一時的に他の計測器を退避させて場所を確保するなどを検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中性子発生量をいかに増やす為のターゲット製作費。中性子用イメージングプレート、バブル検出器の2次元検出器の開発に注視する。 その中で特に中性子用イメージングプレートが激光12号の環境下で利用可能かどうかを重点的に検討する。 関連して、レーザーエネルギーがどのような配分でエネルギーを失っていくかを調べることも重要である。これはそのまま中性子発生量に関係している。今年度レーザーがどれだけ反射するか、逆に考えるとどれだけ吸収されるかを反射光強度から推定した。8割以上は吸収されていることがわかったが、波長を絞って測定していないので精度が不足している。この点も充実したい。 ターゲットサーベイについては、重水素だけでなく軽水素ターゲットによる比較を提案していく。このターゲット製作に費用を投入する。 また、これまでの成果も合わせて研究成果を公表するとともに、関連している研究者と議論を重ねること重要である。
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