2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24561029
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
吉村 泰夫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (90300730)
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Keywords | 電子サイクロトロン波 / ECH / 電子バーンシュタイン波 / EBW / overdense / LHD |
Research Abstract |
本研究は、従来の電子サイクロトロン波を用いた加熱法では不可能であった波動の遮断密度以上のプラズマ加熱を、プラズマ実験装置高磁場側からの電子サイクロトロン波入射を可能とすることにより達成される電子バーンシュタイン波へのモード変換を利用して実現しようとするものである。LHD真空容器内にミラーを新たに設置することで、遅波Xモード電子サイクロトロン波(遅波X波)から電子バーンシュタイン波(EB波)へのモード変換とそれによる遅波X波の遮断密度以上のプラズマに対する加熱効果を実証した。これらの成果に基づいた2本の論文を執筆・投稿し、Nuclear Fusion [1]およびPlasma Science and Technology [2]に掲載された。 遅波X波の遮断密度以上のプラズマにおけるモード変換加熱の実証を受け、2013年度に行った実験では、遅波X波の加熱効果をより顕著に引き出すためにターゲットプラズマの線平均電子密度とターゲットプラズマを維持するための加熱入力を低減させた実験を行った。これにより遅波X波によるプラズマパラメータの変化がより明確となった。これらの実験では、遅波X波の加熱効率として最大で約90%を達成した。 ターゲットプラズマの線平均電子密度を1.5から9×1019 m-3まで変化させる実験も行い、密度の上昇とともに加熱領域がプラズマ中心側に移動していくことを確認した。遅波X波からEB波へのモード変換位置・モード変換後のEB波の伝播経路の変化によるものと考えられる。 [1] Y. Yoshimura et al., Nuclear Fusion, 53, 063004 (2013). [2] Y. Yoshimura et al., Plasma Science and Technology, 15, 93-96 (2013).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遅波X波からEB波へのモード変換を利用した高磁場側入射X波加熱手法によるLHDプラズマの高性能化を実現するため、まず線平均電子密度と加熱入力を抑制してターゲットプラズマを維持し、遅波X波を重畳入射する実験を行った。LHDの上部ポートから入射する77GHz ECHによりプラズマを生成し1.6MWのICHで維持した線平均電子密度1×1019 m-3のプラズマに対し、プラズマ維持加熱入力の50%弱となる0.76MWのEC波電力を、LHDの外側ポート(2-Oポート)から真空容器内ミラー経由の高磁場側入射X波(遅波X波)として0.2秒のパルス幅で入射した。遅波X波の入射直前の4.5秒には時間的に減少傾向にあり162kJであったプラズマ蓄積エネルギーは入射開始とともに増加に転じ、入射終了時の4.7秒には約1.4倍の220kJに達した。0.2秒のパルス幅では蓄積エネルギーの上昇は飽和しておらず、パルス幅の伸長により、より大きな蓄積エネルギー増加が見込める。 ターゲットプラズマの線平均電子密度を1.5から9×1019 m-3まで変化させる実験を行い、加熱位置の密度依存性を調べる実験を行った。ターゲットプラズマは5.4MWのNBIで維持し、追加熱として0.76MWの遅波X波を5Hzの100%電力変調をかけて入射した。加熱位置の同定は多チャンネル電子サイクロトロン波放射(ECE)計測データの解析結果から行った。密度の増加に従い、1.5×1019 m-3で規格化小半径ρ~0.7であった加熱位置は徐々にプラズマ中心側へ変化し、7×1019 m-3ではρ~0.4となった。遅波X波からEB波へのモード変換位置・モード変換後のEB波の伝播経路の変化によるものと考えられる。 以上のように、本研究課題に基づいた研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度のLHD第17サイクル実験において得られた電子バーンシュタイン波の吸収位置のプラズマ電子密度依存性や加熱効率の理論的解析のためのシミュレーションコードの整備を行う。ドイツグライフスバルトのプラズマ物理研究所(IPP Greifswald)で開発されたEC波伝播・吸収計算コードTRAVISが既にLHDの磁場配位に対応した形でNIFSに導入されているが、IPP Greifswaldとの共同研究をさらに進展させ、遅波X波ーEB波モード変換過程を取り入れることができるよう改良する。これにより、得られている実験結果の理論的解析を進めるとともに、LHDプラズマパラメータの向上のための入射条件の最適化を図るための検討を行う。 2014年のLHD第18サイクル実験ではECHシステムに新たに2本目の大電力154GHzジャイロトロンが加わる予定である。既に本研究課題により構築した、ECHビームの不適切な入射を防ぐためのインターロックシステムをジャイロトロンの増加に合わせて拡張する。プラズマの密度、プラズマ放電が終了した際に急増する炭素の分光信号などをFPGA(Field Programmable Gate Array:プログラム可能な集積回路)システムへの入力とし、その出力により電子サイクロトロン波発生装置であるジャイロトロンの運転用電源の制御を行う。電子サイクロトロン波のパルス長設定値よりも早くプラズマ放電が異常終了した場合の電子サイクロトロン波の入射停止、プラズマ生成のために電子サイクロトロン波を入射したにも関わらず所定の時間内にプラズマが生成できなかった場合に入射を停止するなどの入射制御システムにより、LHDのECHシステム全体の高度化を図る。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Electron Bernstein Wave Heating by Electron Cyclotron Wave Injection from High-Field Side in LHD2013
Author(s)
Y. Yoshimura, H. Igami, S. Kubo, T. Shimozuma, H. Takahashi, M. Nishiura, S. Ohdachi, K. Tanaka, K. Ida, M. Yoshinuma, C. Suzuki, S. Ogasawara, R. Makino, H. Idei, R. Kumazawa, T. Mutoh, H. Yamada and LHD experiment group
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Journal Title
Nuclear Fusion
Volume: 53
Pages: 063004
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] High Density Plasma Heating by EC-Waves Injected from High-Field Side for Mode Conversion to Electron Bernstein Waves in LHD2013
Author(s)
Y. Yoshimura, S. Kubo, T. Shimozuma, H. Igami, H. Takahashi, M. Nishiura, S. Ogasawara, R. Makino, T. Mutoh, H. Yamada, A. Komori
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Journal Title
Plasma Science and Technology
Volume: 15
Pages: 93-96
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Long-Pulse Plasma Discharges by Upgraded ECRH System in LHD2014
Author(s)
Y. Yoshimura, H. Kasahara, K. Nagasaki, M. Tokitani, N. Ashikawa, Y. Uede, S. Ito, S. Kubo, T. Shimozuma, H. Igami, H. Takahashi, M. Nishiura, S. Kobayashi, Y. Mizuno, K. Okada, S. Ogasawara, R. Makino, I. Yamada, C. Suzuki, K. Tanaka, T. Mutoh, H. Yamada
Organizer
18th Joint Workshop on ECE and ECRH
Place of Presentation
奈良県 奈良市
Year and Date
20140422-20140425
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