2013 Fiscal Year Research-status Report
ジャイロ運動論的シミュレーションによる非軸対称配位での異常輸送解析
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24561030
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 智彦 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30260053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼波 政倫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40397203)
田中 謙治 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50260047)
洲鎌 英雄 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80202125)
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Keywords | プラズマ / 乱流 / シミュレーション |
Research Abstract |
磁場閉じ込め核融合プラズマの局所的な乱流輸送を解析するジャイロ運動論的シミュレーション・コード(GKV)の拡張を行い、非軸対称プラズマにおける乱流輸送機構の解明および輸送量の定量的評価を可能とするための研究基盤を整備した。本課題の研究グループを中心に開発してきたGKVコードでは、多種粒子成分の分布関数を、実験計測により再構成された3次元平衡磁場配位のもとに計算できるようになり、またこれと平行して最新のスーパーコンピュータ環境に適用できるよう改良が行われている。これを用いてLHDプラズマの実験配位において、イオン・電子2成分からなる系でのイオン温度勾配不安定性の成長率を計算できるようになった。 さらに平成25年度には、局所乱流輸送シミュレーションをより効率的に実行できるように、新しく計算モデルを開発した。これは、複数のシミュレーション・ボックスを連結したもので、乱流揺らぎが磁力線平行方向に広がっている場合に特に有効であり、ヘリカル系における多種粒子成分を含む乱流輸送の解析に多いに役立てることができる。次年度以降は、シミュレーション手法をさらに拡張して、非軸対称プラズマの局所乱流輸送シミュレーション解析の基盤を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非軸対称トーラス・プラズマにおける乱流輸送のジャイロ運動論的シミュレーション研究は、本課題の参加メンバーを中心に進められ、大型ヘリカル装置(LHD)の実験解析に適用できるレベルにまで発展してきた。本課題では,こうした解析をさらに進めるべく、コードの拡張を進めてきた。従来の電子に対する断熱近似を用いたモデルから、運動論的電子を取り扱うようにコードを拡張することで、捕捉電子による寄与を取り入れた解析が可能となる。これと平行して、電磁揺動を取り入れる拡張も行われており、イオン温度勾配乱流だけでなく、最近は運動論的バルーニングモードの解析へとその応用範囲が広がっている。 さらに平成25年度中に、複数のシミュレーション・ボックスを連結するという新奇な着想を得て、flux tube trainモデルを考案し、その原理実証を完了した。この新しいモデルを使うと、従来のコードでは扱いにくい磁力線方向の相関長の長い揺動を、より簡便に取り扱うことができる。これは、磁力線方向に長い相関長を作り出す電子運動が関与した揺動を取り扱う際にも有効と考えられ、今後の研究の進展に多いに役立つ成果が得られている。 以上のことから、研究目的に照らして本課題は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
非軸対称トーラス・プラズマの乱流輸送に関するジャイロ運動論的シミュレーションは、5次元位相空間を取り扱うことに加え、磁力線に沿った平衡磁場変化(リップル磁場)を分解する解像度が必要なために、多くの計算資源を必要とする。特に磁力線に沿って高速で移動する電子を運動論的に取り扱うには、高い時間分解能も要求される。そのため乱流を含めた非線形シミュレーションは、必然的に大規模なものとなり、「京」を用いた課題が進行中である。この問題点をできるだけ緩和するために、部分的に陰解法を使った数値手法を併用することを検討している。平成26年度中にその拡張を行い、ヘリカル型プラズマのジャイロ運動論的シミュレーション基盤の確立をはかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当研究課題の代表者である渡邉は、平成26年2月より名古屋大学に転任しました。本課題に関わる研究実施のための消耗品費や、研究成果発表のための論文出版経費などについて、転任後の使用分を増額する必要が生じたため、計画を一部変更し平成26年度分として使用することにいたしました。 平成26年度の研究費は、これまでと同様に、主として国内外での研究成果発表旅費、学会等参加費、などに充てる予定である。さらに成果論文の出版にも経費の一部を使用する見込みである。
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Research Products
(7 results)