2013 Fiscal Year Research-status Report
実験及びMD計算統合による有機物を含む汚染土壌廃棄物中のCs脱離挙動の解明
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24561036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 直子 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20624711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 完 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60234746)
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Keywords | 放射性セシウム / 土壌 / 収脱着 / MD計算 / 有機物 |
Research Abstract |
福島第一原子力発電所の事故により多量に放出されたCsの移行挙動を把握することが重要である。Csは土壌中の粘土質に強く収着する一方、その収脱着は土壌有機物の影響を受ける。本研究は、放射性Csを含む土壌廃棄物の処理・処分に際し、その構成要素である土壌自体の持つバリア機能について、長期信頼性・安定性の評価に資することを目的とし、実験と分子動力学(Molecular Dynamics :MD)計算を組み合わせ、粘土質・Csの相互作用に土壌有機物が影響を与えるメカニズムを理解することを目指す。 平成25年度は、Csと同じアルカリ金属イオンを用いてCsを粘土鉱物及び福島県内で採取した汚染土壌から脱離する実験を行った。粘土鉱物はモントモリロナイトとカオリナイトとし、異なる脱離イオンを用いCsの収着サイトの差異を特定することを目的とした。モントモリロナイトではイオン水和半径が大きいほど脱離できるCsの割合が低く、また高塩濃度下での残存濃度が高くなった。一方、カオリナイトでは脱離イオンの種類や濃度による脱離傾向の違いがモントモリロナイトほど顕著ではなく、エッジ部分のサイトへの収着が主であることが示唆された。土壌は採取地点、深度により異なる脱離傾向を示した。さらに、粘土鉱物におけるCs収脱着挙動の加成性の評価を行った。固相の溶解・析出などが起こらない場合には粘土鉱物の混合物については加成性が成り立つことがわかった。 MD計算コードでは、平成24年度にモデル化したパイロフィライトのACエッジを発展させ、Cs収着に重要な役割を果たすマイカのエッジ部分におけるCsの錯形成サイトのシミュレーションを行った。マイカのエッジ部分で錯形成はパイロフィライトと同様であったが、構造電荷の影響によりマイカの2つの層を架橋する結合形態の内圏錯体がパイロフィライトよりも低いpHで形成されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粘土鉱物単体、粘土鉱物の混合物、土壌についてCsの収脱着に関する実験手法を確立し、また、データを得て、これから行う有機物による影響を測定する準備が完了した。MD計算については、Cs収着に重要なマイカのモデル化を行い、イオン交換などの熱力学特性を算出する基礎とすることができた。 計画事項として挙げていた点全てについて着手し、次のステップが見える段階までの成果を出しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、粘土鉱物-有機物錯体を形成した場合における、Csの収脱着挙動を粘土鉱物のみの場合と比較する。粘土鉱物-有機物錯体形成には、標準有機物を分子量、親水・疎水性等の特性ごとに分画したものや、土壌有機物のアナログと考えられる化学物質(多糖類、タンパク質、タンニン、脂肪酸、コハク酸等)を用いる。モデル錯体へのCs収脱着実験より、粘土質の表面、層間、エッジそれぞれへの収着についての仮説を検証し、Cs収着が促進・阻害されるメカニズムについて、土壌有機物が粘土鉱物表面に吸着する場合と、溶存有機物が金属の溶解など粘土鉱物に変化を起こす場合の2つのケースについて整理する。 MD計算では、粘土鉱物エッジ、有機物、Csの3元系でCs収着のシミュレーションを行い、収着の化学的な安定性、有機物が収着に及ぼす影響メカニズムを理論的に理解する。 実験、MD計算両方の結果より、有機物、粘土それぞれの特性・量、pH、共存イオンの種類・濃度など環境条件が、有機物を含む土壌廃棄物中でのCsの安定性に及ぼす影響ついて総合的な評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度はMD計算を行うとともに、福島県内にて採取された事故由来の放射性Csを含む土壌及を用い、放射線計測を中心とした実験を主に行った。このため、実験関係の消耗品を予定よりも購入する必要がなかった。 26年度には標準物質を含む様々な試薬を入手して実験を行い、これまでの未使用分についても使用する予定である。
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Research Products
(1 results)