2012 Fiscal Year Research-status Report
実測困難な原子炉安全パラメータの不確かさ評価-分散共分散行列を用いた新概念
Project/Area Number |
24561040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 章夫 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50362265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 豪 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50421524)
遠藤 知弘 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50377876)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炉心解析 / 不確かさ / 感度係数 / 分散共分散行列 / 炉心特性 / 相関 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実測が困難な原子炉の核的安全パラメータの予測誤差を評価する理論を新たに確立し、その適用性を確認する。本研究では、①これまで着目されてこなかった安全パラメータ間の誤差の相関(共分散)を評価する理論を確立し、②これを活用することで実測が困難な安全パラメータの予測誤差を推定することを可能とする。 平成24年度は、炉心の安全パラメータ間の共分散を評価するための理論的枠組みの構築を実施した。炉心解析では、多群微視的断面積を出発点として、集合体計算、炉心計算を行って炉心特性を算出する。この流れに従い、微視的断面積の共分散データを入力値とし、感度係数行列を用いることで、これを非均質多群巨視的断面積、均質少数群巨視的断面積、炉心特性に伝播させる理論的な枠組みを構築した。また、この理論的に枠組みに基づいて単純化したPWR体系などで解析を実施し、妥当性を確認した。一方、感度係数行列を用いる手法は、感度係数行列を求めるための手法が複雑になる可能性があり、特に、入力パラメータと出力パラメータの双方の数がいずれも多い場合、計算量が現実的なものにならなくなる可能性あることも明らかになった。 そこで、共分散を伝播させる方法として、感度係数行列を用いる方法に加えて、別途ランダムサンプリングを用いる方法についても検討を実施した。ランダムサンプリングでは、多変量正規分布に基づき相関のある複数のデータをサンプリングし、それを用いた多数回の解析により、共分散の伝播を計算する。感度係数を用いる手法が線形モデルを仮定しているのに比べ、より複雑かつ非線形性の高いシステムの不確かさ評価に有効であるとの知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画は、感度係数行列を用いた分散共分散行列の伝播に関する理論的枠組みの構築であったが、これに加えて、ランダムサンプリング法による共分散行列の伝播に関する検討を実施した。従って、当初の計画以上に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、安全パラメータの誤差の相関(共分散)を評価するための解析システムに関する研究に取り組む予定である。具体的には、MOCを用いた一般化中性子束および一般化随伴中性子束の解析手法を新たに開発する。また、軽水炉および高速炉に対して、燃料集合体核定数の共分散行列の評価を行う。なお、解析にあたっては、解析手法の汎用性と実用性を考慮して、平成24年度に開発したランダムサンプリング法を主体とした解析方法を採用し、集合体核定数の共分散行列の評価を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究経費は、当初の計画通り、成果発表および打ち合わせのための国内旅費および海外旅費、研究補助のための謝金、成果発表のための論文投稿料などに使用する予定である。
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Research Products
(4 results)