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2012 Fiscal Year Research-status Report

栽培環境制御法による植物の放射能移行メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 24561041
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

佐藤 文信  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40332746)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords放射性セシウム植物移行 / 放射能環境汚染 / 植物工場
Research Abstract

福島第1原発事故による環境放射能汚染が問題となっており、2年が経過した現在においても森林や河川など除染作業が進められていない土地が多く残っている。放射性セシウムの土壌、植物移行に関する研究は、森林などの放射能汚染拡大予測や植物を利用した除染作業法の確立に役立つと期待されている。本研究では、セシウムの植物移行について、イメージングプレート(IP)を用いたベータ放射能測定とエネルギー分散型X線分光法(EDX)によるCs元素分析を行った。
ハツカダイコン試料は放射性セシウムCs-134,Cs-137を含む液肥を用いて水耕栽培で生長させ、蒔種10日後に採取した。試料は採取直後に高周波加熱装置で乾燥させて、IPによってベータ放射能分布を測定した。IP強度分布は天然カリウム中に存在するK-40からのβ線や植物部位の厚みの差異による影響があるものの、比較的、子葉の先端に放射性セシウムが多く集まっていた。しかし、蒔種3,4週間後におけるIP測定では、ベータ放射能は植物中の特定の領域に集まっている様子は確認出来なかった。
次に、Cs-133Cl水溶液を子葉に滴下し、Cs,K濃度分布をEDXで調べた。蒔種10日後の子葉表面2か所に1μlづつ滴下し、100分後でほとんど乾燥した。子葉は滴下後100、1000分後に採取して水洗いし、EDX分析を行った。葉面からCsが吸収され、徐々に拡散し、葉の先端に集まっている箇所も見られた。K濃度分布も同様に測定したが、カリウムのイオン濃度勾配などがセシウムイオンの拡散に関係するのではないかと考えられ、現在、考察を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

水耕栽培実験システムを設備し、放射能を取扱うための準備を行った。また、水耕栽培と放射能実験に必要なパラメータを収得する事が出来た。さらに、品種はハツカダイコンやインゲンマメなどに限りるが、放射性セシウムの植物移行に関する幾つかの実験データを得る事が出来て、おおむね順調に進展している。
順調に進展している理由として、平成24年度前期の段階で、LEDを利用した小型の植物工場が完成した事が大きい。また、植物工場の製作費については研究室の運営交付金の一部を充てた事も早く完成した要因のひとつである。従って、年間を通して安定した栽培が可能となり、様々な条件で放射性セシウムを含有する植物試料を得られることが出来ている。また、試料分析に必要な研究室既設の電子顕微鏡や鉛遮蔽箱を優先に使用する事が出来た事も順調に進展している理由のひとつにあげられる。
研究目的に関しては、他の研究グループからも類似した成果報告が多くなされ、自分自身の研究と比較しながら進めることが出来た。そのため、有意義な結果が得られない実験や解明済みの課題に対する実験の繰り返しを回避する事が出来て、研究を効率良く進める事が出来ている。その反面、より詳細な考察や未解決の問題に対する研究成果が求められる状況にあり、今後の研究方針については十分な検討が随時必要である。
また、関連する学会や研究会において、研究者、地方自治体、農家の方々と意見交換を行う機会があったので、本研究の必要性や方針を決めるのに役立つ多くの情報が得られた事は有意義であった。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度では、これまでに得られた結果と考察を論文にまとめるために、実験データの整理や追加実験を行う予定である。放射性セシウムの環境汚染は、長期にわたる社会問題となるために、少しづつであっても広く確かな情報を公表する必要があると考えている。
また、平成24年度では水耕栽培実験を中心に実施したが、平行して、放射能汚染地域で植物栽培や採取を行う事を計画している。特に、森林や河川における植物を採取し、放射性セシウムの動態について調べる予定である。従って、平成25年度前期においては、フィールドワークに必要な実験準備を行う予定である。特に、採取した試料の放射能分析を行うために、高感度NaI測定装置などを整備する。
さらに、放射能環境汚染に関連する学会などに参加して、情報収集を行う予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

放射性セシウム放出β線を高感度に測定するために、光電子増倍管、プラスチックシンチレータ、多重波高分析器システム、イメージングプレート、関連する電子部品等を購入する。また、β線検出のS/N比を向上させるため、10cm厚の鉛ブロック製遮蔽箱を設置する。また、植物試料の生長や分析に必要な化学薬品(化学肥料、蛍光試薬)を購入する。
また、元素分析を外注するための経費、学会や研究会に参加するための旅費、論文投稿料を計上している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] A simple method with imaging plates for examination of soil contaminated with radioactive caesium2012

    • Author(s)
      N. Zushi, Y. Ikeda, F. Sato, Yushi Kato and Toshiyuki Iida
    • Journal Title

      J. Nucl. Sci. Technol。

      Volume: 49 Pages: 663-666

    • DOI

      10.1080/00223131.2012.693883

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 水耕栽培植物中のセシウム分布測定2012

    • Author(s)
      池田祐希、佐藤文信、加藤裕史、飯田敏行
    • Organizer
      第11回日本放射線安全管理学会学術大会
    • Place of Presentation
      大阪大学
    • Year and Date
      20121204-20121206
  • [Presentation] 放射性・非放射性セシウムを用いた植物栽培実験2012

    • Author(s)
      池田 祐希、図子 直城、佐藤 文信、加藤 裕史、飯田 敏行
    • Organizer
      第73回応用物理学会学術講演会
    • Place of Presentation
      愛媛大学
    • Year and Date
      20120911-20120914

URL: 

Published: 2014-07-24  

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