2014 Fiscal Year Annual Research Report
栽培環境制御法による植物の放射能移行メカニズムの解明
Project/Area Number |
24561041
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 文信 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40332746)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 植物 / 放射能環境汚染 / β線スキャナー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、放射性セシウムの葉面移行を調べるために開発したβ線スキャナーの改良と性能評価をおこなった。β線スキャナーは、おもにβ線検出器、試料自動ステージ、遮蔽箱、パーソナルコンピュータで構成されている。試料自動ステージとβ線検出器は5cm厚の鉛ブロックに囲まれ、外部からの自然バックグラウンドを低減している。試料台は、65mmx100mmx5mmのアクリル板で、Y軸自動ステージによって試料を移動させる。放射性核種からのβ線はプラスチックシンチレータ(NE102A)と直線に並べられた16個のMPPCで検出される。プラスチックシンチレータからのシンチレーションをMPPCでパルス信号に変えて、チャンネルごとにパルス波形整形と波高弁別を行うための専用回路によって処理し、得られたデータから2次元の放射能分布を再構成した。 パルス波高のエネルギー較正は、Cs-137の標準β線源を用いて行った。較正実験で得られたパルス波高分布は、電子・光子輸送コードPHITSで得られたシミュレーション結果と比較した。波高弁別器の閾値は高いS/N比が得られるように150keVに設定された。また、シミュレーション結果より、放射性セシウムβ線の検出効率は約20%であった。 滴下実験では、植物工場で栽培されたハツカダイコンを利用した。5Bqの放射性セシウム溶液を蒔種30日後の本葉に滴下し、放射性セシウムの葉面吸収をβ線スキャナーで観察した。放射性セシウムの一部は、葉の先端部と葉脈に移動していることが観察された。 従って、開発したβ線スキャナーが、放射性セシウムの植物移行研究に役立つことが示された。
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Research Products
(2 results)