2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24561045
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
渡邉 雅之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (70354842)
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Keywords | ダイヤモンド / 吸着平衡 / 希土類元素 / 分離 / レーザー分光 / 静電的相互作用 / イオン交換 |
Research Abstract |
これまでわれわれはダイヤモンド表面に対する金属イオンの吸着挙動を研究してきた。今回は、希土類元素に着目し、4 種類(人工・天然・単結晶・多結晶) のダイヤモンドにに対する吸着実験および表面化学種の水和状態観察を行なった。各種ダイヤモンド粉末を50 mg ずつ量り取ったものとpH が1.0 - 4.0 の範囲で希土類元素の濃度が100 ppb 10 ppm となるように調製した溶液2 ml を2 時間撹拌させ、遠心濾過した。ろ液を10 倍に希釈後、希土類元素の濃度ICP-MS またはICP-AES により測定し、測定データから分配係数を求めた。得られた吸着量・平衡時の濃度データをLangmuir の吸着等温式とFreundlich の吸着等温式にフィッティングしたものを比較したところ、前者の方がフィッティングにおける精度が高かった。この結果は、希土類元素イオンが表面全体に吸着するのではなく、表面の特定のサイトに大部分が吸着することを示すと同時に、単層吸着と考えられる。レーザー時間分解分光法によって発光スペクトルを解析した結果、吸着前後において水和数の変化は起きていなかった。したがって結合は静電的な相互作用が関係していると考えられる。いくつか課題の抽出もでき、研究の完成に有意義な成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸着のメカニズムを解明することを本研究の最終到達点とすると、現在、液性を様々な条件として、吸着挙動を確かめ、吸着容量や吸着等温線を解析するという見かけの現象をほぼつかんだという状態である。本年度は、特に分光法を用いた実験に着手することができた点は、非常に大きな進歩である。まず、赤外分光法による測定を開始し、吸着前後でのスペクトル変化を観測し始め、データの蓄積を行っている段階である。これと並行して、レーザー時間分解蛍光分光法を適用し、吸着したユウロピウムの水和状態変化を観測し、解析を行ったところ、吸着前後でユウロピウムの水和数に変化はなく、脱水和後に吸着するという通常のイオン交換反応とは、異なることを見出したことは大きく評価できる点である。また、積極的にSEMなどを用いてダイヤモンドの形状を確認できた点も一定の進歩であるが、XPSなどを用いた実験に至っておらず、次年度以降に持ち越した。しかしながら、研究を進める中で、新たな課題も見えてきており、研究の完成に向けて、次年度以降の目標設定が明確になってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼータ電位滴定。ボーエム滴定などによるpHゼロポイントの測定などを行うとともに、さらに赤外分光法やレーザー時間分解蛍光分光法を用いて、ユウロピウム以外の希土類元素での測定や、XPSにより、吸着前後での軌道の結合エネルギー変化を解明することで、マクロな現象論でしか把握されていない吸着現象をさらに、表面分析などを活用することで、吸着メカニズムの解明につなげる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品など使用予定であったものが、一部前年度から持ち越されていたため、購入の必要を生じなかったのが理由。 新規の文献が多数出版されていることから、書籍の購入や、実験消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)