2012 Fiscal Year Research-status Report
震災対応蓄電池導入と環境負荷低減活用のコベネフィット分析
Project/Area Number |
24561053
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡島 敬一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60303533)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 非常用電源 / 燃料電池 / CO2排出量 / 環境負荷低減 |
Research Abstract |
東日本大震災において非常用電源等のエネルギーシステムは十分に活かされず、被災地の避難所でのエネルギー確保に困難が生じた。本提案は非常用としても活用できる分散型エネルギーシステムにおける蓄電池実装に主眼を置く。一般的に非常用発電機としてディーゼル型発電機が導入されているが、災害時のみにしか稼働させないため利用頻度が少なく、設備全体の利用率を低下させる要因となっている。一方で、ディーゼル型発電機の通常時稼働はCO2排出の観点から考えると望ましくない。震災対応という一点での導入を考えた場合、蓄電池製造・導入に伴う環境負荷増大が伴うため、ライフサイクル評価の面では望ましいとはいえない。震災対応に加えて平常時においても電力平準化、ピークカットへ活用することにより、環境負荷低減効果が期待でき震災対応および環境負荷低減のコベネフィットと見なすことができる。本提案はこれらの定量的分析を進め、求められる震災対策用分散型エネルギーシステムの明示化を目的としている。 平成24年度は、公共施設等における非常用電源導入ケーススタディ評価として、大規模病院施設における固体酸化物燃料電池(SOFC)導入評価研究を実施し、通常時及び非常時における環境性評価を行った。病床数800床の大規模病院の2011年8月から2012年7月の1年間における実電力需要・熱需要データの提供を受け、東日本震災での停電時の自家発電機(1500 kVAディーゼル型発電機)の稼働状況をベースとして通常時及び非常時のケース設定を行った。通常時におけるCO2削減率は平均して28%であり、中間期において最大のCO2削減効果が得られた。非常時を想定したケースにおいても24%~35%のCO2削減率が得られ、従来の電力及び熱供給システムとの比較することで燃料電池導入の有用性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平常時における省エネルギーと省電力の効果、ならびに電力のピーク負荷削減効果を定量的に明らかにするためのモデルをケーススタディを通して構築し、平成24年度の成果は十分に得られた。特に公共施設としての大規模病院を対象として震災対策設備投入に伴う環境負荷増大と通常時活用による環境負荷低減効果を定量的に明らかとした。一方で蓄電池導入評価モデルの構築作業に若干の遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
太陽光発電システム、燃料電池スタックを用いた特性評価試験を通して需要カーブとの比較検討により蓄電装置に要求される特性の検討ならびに容量の算出を行う。温度の他、充放電速度等の特性パラメーターについて検討を進め、導入新・省エネルギー技術についてエネルギーフローの観点から定量的にプロセス設計を進める。 予算の一部を平成25年度に繰り越すことで、研究目標の達成に向けて引き続き調査と研究作業を実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、平成24年度に構築した平常時における省エネルギー・省電力効果ならびに電力ピーク負荷削減効果評価モデルへ蓄電池評価モデルを構築、統合する。実験的評価研究費用ならびに被災自治体地域調査費用として1,815,886円を繰越すことにした。
|