2014 Fiscal Year Annual Research Report
震災対応蓄電池導入と環境負荷低減活用のコベネフィット分析
Project/Area Number |
24561053
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡島 敬一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60303533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非常用電源 / 太陽光・蓄電池複合システム / 燃料電池 / CO2排出量 / 環境負荷低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月の東日本大震災において非常用電源等のエネルギーシステムは十分に活かされず、被災地の避難所でのエネルギー確保に困難が生じた。震災対応に加えて平常時においても電力平準化、ピークカットへ活用することにより、環境負荷低減効果が期待でき震災対応および環境負荷低減のコベネフィットと見なすことができる。本提案はこれらの定量的分析を進め、求められる震災対策用分散型エネルギーシステムの明示化を目的とした。最終年度となる平成26年度は、導入が進められている太陽光(PV)・蓄電複合システムについて、非常時における停電対応能力について定量的な分析を行い、なおかつ実データに基づき平常時における環境負荷低減効果について設備容量の観点から評価を進めた。 災害時運用を目的としたPV・蓄電池複合システムを対象に、複数の運転条件下で9つの負荷ケースに対する停電対応能力を評価した。結果の一例として、負荷ケース3(L3×G1)に対して設備容量(PV:20 kW, 蓄電池:15 kWh)の場合では、95%の信頼度で62%の停電を回避する結果となった。 次に、学校施設を対象として実データを用いて、PV・蓄電池システムを導入した場合の電力削減効果、ピークカット効果及びコスト評価を行った。蓄電池容量別で評価した場合、昼間削減電力量は蓄電池容量に比例したが、正味削減電力量は蓄電池容量が増加すると小さくなった。実際の電力料金体系を用いた経済性評価では、蓄電池容量が大きくなるほど年間の電力コストは増加し、蓄電池容量45 kWhの場合では86.3万円増加した。この電力コストの増加は年間資本コストによる影響が大きく、グリーンニューディール基金等の補助制度の活用が望ましいことが示された。年間資本コストを除いた場合は蓄電池容量45 kWhの場合で年間66.7万円のコスト削減効果があることが明らかとなった。
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