2013 Fiscal Year Research-status Report
長期エネルギー需給システム計画のための拡張モデル概念と逆問題
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24561056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手塚 哲央 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (60163896)
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Keywords | シミュレーションモデル / 意思決定支援 / 逆問題 / 最適化 / 将来シナリオ / エネルギー需給 |
Research Abstract |
初年度は、遺伝的アルゴリズムを用いて得られた逆問題の解の特徴の基礎的な分析を行った。一般的な求解方法はNP完全問題に相当するために、近似的解法を考える必要がある。また、逆問題の求解を広く利用できるものとするためには、求解に要する時間を短縮する必要も生じる。そこでまず問題となるのは、将来シナリオを最適化手法を用いて求める際の最適解の特徴を抽出する必要がある。 将来シナリオの逆問題での求解の対象となるのは、技術、政策、需要、設備インフラなどのオプションの組み合わせであり、また、そのオプション群は事前に与えられていることが前提となっている。そこで、そのオプション群と最適解が満たすべき条件との関係を定量的に分析しておくことが可能となる。すなわち、遺伝的アルゴリズムなどの探索的手法の探索範囲を事前に絞り込んでおくことが期待できる。いうまでもなく、他の探索範囲も対象となるが、探索範囲の重みを変えることにより、逆問題のより多くの解が短時間で求まることとなる。さらに、逆問題の解集合を、最終的に意思決定者に有用な情報とするためには、解集合の特徴を分かりやすく解釈・提示する必要が生じる。 以上の問題意識の元で、2年目となる本年度の研究では、例題として水素エネルギーが最適解として導入されるための条件を求める問題をとりあげ、逆問題手法の適用可能性を検討した。その結果、逆問題手法の利用により、従来は想定していなかった対象への理解の深まる可能性が示されたと考えている。 今後の課題としては、関係する条件群と水素導入可能性との関係を図示することにより、意思決定者への効率的な情報提供ができるものと考えられる。同様の例題は。原子力導入が不可欠となるための条件なども挙げることができ、これにより、原子力賛否に分かれたグループの合理的な手法による歩み寄りが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、逆問題の対象として、自律分散型意思決定問題を取り上げ、そのモデル化を通して、解くべき問題を明確に定式化した。そして、実用的な逆問題の求解手法を開発するために、将来シナリオの条件オプション群と逆問題の解との関係を逆問題の解の分析を通して分析した。また、意思決定支援のための図解手法も検討中であり、残りの1年の間に効果的な逆問題の利用方法を提案できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、H25年度に定式化した逆問題の効率的な近似解求解手法と政策策定作業への有効利用方策について引き続き検討し、効果的な逆問題の利用方法を提案する。
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