2013 Fiscal Year Research-status Report
分散エネルギー群の自己組織的クラスター形成条件の明確化と有効性の評価
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24561061
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
石田 武志 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 教授 (50438818)
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Keywords | スマートグリッド / 自律分散システム / チューリングパターン / 太陽光発電 / コージェネレーションシステム / 燃料電池 / 蓄電池 |
Research Abstract |
太陽光発電(PV)などの自然エネルギーが大規模に導入されると、1)天候による大規模な出力変動,2)電力系統の電圧上昇,3)周波数の不安定化,などの問題が発生する。本研究は、これら諸問題を解決するため、地域内住宅群に分散エネルギー(燃料電池やヒート ポンプ、蓄電池など)を適切に配置することで, 電力系統への影響が低減できることを示すものである。特に需要家(住宅)のエネルギー設備が不規則に更新されていく中で、需要家にいくつかの設備導入・運用ルールを設定し、分散エネルギー間の相互連携を誘発さ せることにより、分散エネルギーを構成要素とするクラスター群が自己組織的に形成され、電力系統の恒常的安定性とロバスト性(牽牛性)が保たれることを、マルチエージェントシステムで示すことを目的としたものである。 平成25年度においては、24年度に明らかにした手法やパラメータを参考に、街区内の住宅等の建物に導入された蓄電池等の分散制御方法に関して新しいモデルを構築した。具体的には、生物の群れ形成や生体模様形成の基礎モデルであるチューリングモデルの概念(活性因子と抑制因子の相互作用によるパターン形成)を基礎としたルールを設けることで、街区内の蓄電池の充電・放電を制御し、地域内で余剰電力を効果的に吸収できることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に述べた成果について、国際会議での発表を1度(IEEE Symposium Series on Computational Intelligence(IEEE SSCI2013), April 15-19, 2013, Singapore)実施した。ここで提出された論文はフルペーパー査読である。さらに、電気学会の英文論文誌に査読論文を掲載することができた。平成25年度の途中で、所属機関の移動があり、一時的な研究の停滞があったが、順調に成果の発表を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、以下の3点を進めることを計画している。 1)25年度までの明らかにした、エネルギークラスターを創発させる「設備導入ルール」と「設備運用ルール」について、実際の設備導入時の経済性判断と整合性をもたせながら、設備導入ルールと同じ効果をもたらす施策やエネルギー料金体系の検討を行う。 2)実街区をモデルとしたケーススタディの実施を行う。具体的には実街区の配電系統のモデル化を行い、電力系統シミュレーションモデルを構築する(電力系統とインターネットを介した情報伝達を合わせたモデル構築を行う。従来の系統シミュレーターでは情報制御の部分が記述できないため、Mapleより電力系統と情報系統の2つを同時にモデル化する。 3)エネルギークラスターの構成要素について、さらに多様な組み合わせを考え、水素システムと融合し、「エネルギー完全自律クラスター」の可能性を考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において、所属機関を移動し、研究室の立ち上げ準備などのため、研究の進捗が一時的に遅くなり、研究費の次年度使用が発生した。 平成25年度においては、実街区でのケーススタディを実施するため、詳細な系統シミュレーションを行うことができるシミュレーションシステムがさらに必要となる。このため、数理処理ソフトMapleをさらに1セット(42万円)購入する予定である。加えて、研究成果の取りまとめや発表が順調に進むことが想定されるため、英文論文の校正費(20万円)、論文掲載費(20万円)、国際会議への出席・旅費(35万円)、国内学会への出席・旅費(7万円)などを支出する予定である。
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