2014 Fiscal Year Annual Research Report
M期凝縮染色体の構築原理の解明:コンデンシン複合体は染色体上で何をしているか
Project/Area Number |
24570006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須谷 尚史 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30401524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 染色体 / 染色体凝縮 / 染色体分配 / ChIP-seq / 分裂酵母 / 単鎖DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体DNAは細胞分裂期(M期)になると凝縮してコンパクトな棒状の形態をとり、この染色体凝縮は均等な染色体分配にとって必須である。コンデンシンは染色体凝縮過程において不可欠な役割を果たすことが知られるタンパク質複合体である。本課題で申請者は、ChIP-seq法によりゲノムDNA上のどこにコンデンシンが結合しているかを明らかにすることで、コンデンシンが染色体凝縮を引き起こす機構を解明することを目指した。その結果、コンデンシンはM期分裂酵母細胞中で転写活性の高い部分に特に強く結合していること、この結合はコンデンシンの機能と転写活性の両方に依存することをまず見いだした。また、RNAポリメラーゼII(RNAP2) ChIP-seq解析を通じ、コンデンシンはRNAP2の伸長反応を正に制御しているという仮説を前年に得ていた。しかしながら、その後の詳細な解析はこの仮説を支持せず、コンデンシンは転写反応やRNAP2の動態を直接制御することはないと現在のところ結論づけている。今年度に新たに得た結果として、コンデンシンが結合しているDNAには単鎖DNA部位が含まれていること、コンデンシン結合箇所には単鎖DNA結合タンパク質(RPA)が共局在していること、コンデンシン欠損細胞では染色体上へのRPAの結合が増大すること、がある。コンデンシンは試験管内で単鎖DNAの再会合を促進することが知られるが、この活性が生体内でも機能していることを示す結果だと考えられる。転写阻害によりコンデンシン変異体の示す染色体不分離の表現型が相補されるという結果を考え合わせると、コンデンシンは転写によって生じた単鎖DNA領域の解消を担っており、この働きが凝縮染色体の形成には必須であることが示唆される。染色体の形態変化の背後にある分子活性に迫る重要な知見と考えている。この結果をまとめた論文を投稿し、現在リバイス中である。
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