2014 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷トレランス機構の分子制御メカニズムの解析
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24570010
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
毛谷村 賢司 学習院大学, 理学部, 助教 (70464386)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DNA損傷トレランス / DNA相同組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
生物のゲノムDNAは、内的・外的要因によって常に損傷を受けている。DNA損傷によるDNA複製阻害は、突然変異頻度の上昇やゲノム不安定化を引き起こすため、老化や細胞死の原因となりうる。一方で、生物は複製阻害を回避する機構(DNA損傷トレランス)を備えている。また、DNA複製阻害に伴って引き起こされるクロマチンの動態変化は、DNA損傷トレランスの制御と密接に関わっていることが予想されるが、それらの具体的な関係性は不明である。そこで、本研究ではクロマチン動態制御の中核を成すヒストンの遺伝子変異ライブラリーを用いて、DNA損傷トレランス機構の制御に関与するヒストン変異体の探索を行った。ヒストン変異体と、DNA損傷トレランスの中心的な役割を果たすRAD18遺伝子を欠損した二重変異株について解析した結果、DNA損傷剤に対する感受性に変化が見られたものが多数単離された。また、それらのヒストン変異体の中には、DNA相同組換え経路に異常が生じているものが存在していた。最終年度において更に解析を進めた結果、ヒストンは相同組換えを抑制することで、リスクの少ないDNA損傷トレランスを促進していることが明らかになった。 生物間で高度に保存された出芽酵母Mgs1は、DNA損傷トレランス経路の制御に関与する。DNA損傷トレランス経路の制御ネットワークを理解するため、MGS1とRAD18の高温感受性二重変異株を用いてマルチコピーサプレッサーの単離および同定を行った結果、遺伝子を含まないゲノム上の特定領域が高温感受性株の抑圧に機能することがわかった。また、最終年度の解析において、これまでDNA損傷トレランス経路との関係性が報告されていない新規の遺伝子も見出された。これらのことから、Mgs1やRad18を介したDNA損傷トレランス経路は多様な因子と密接に連携し、ゲノムの安定性を維持していることが示唆された。
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Research Products
(7 results)