2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 誠治 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 農学研究院研究員 (00467086)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 行動 / 生態 |
Research Abstract |
親の給餌量は子の要求量と配偶相手の仕事量によって決まると考えられているが、その相互作用の研究例は少なくそれぞれの役割を相対的に評価できない。また、直接の雌雄の相互作用だけでなく父性の確かさによってもオスの投資量は変化する。本研究は親による給餌量に影響するとされる要因の中から家族関係を総合的に解析することで、見かけの現象や影響の小さい要因である可能性を排除して、どの要因が大きく影響しているのかを調べる事が目的である。昨年度の実績は以下の通りである。 1)先行研究を特定の分類群に限らず徹底的に調査することで、複数の分類群に共通してみられる生活史形質を抽出し、さらに系統関係を考慮する事で「両親による育児を行う昆虫」の進化要因を推定した。その結果、巣の形質がどの昆虫にも共通する事が判明した。また、巣の形質はオスによる父性確保に影響すると考えられたことから、本研究テーマも父性の確かさをより重視した方がよいと考えられた。この結果は既に論文として受理され、さらに対象をモンシデムシに限った総説を執筆中である。 2) 父性の確かさはオスの育児参加における重要な要因とされている。血縁認識のできない種では父性の確かさはメスにペア外交尾の機会があったか否かではかると考えられている。これを利用し、父性はそのままで父性の確かさのみ操作できる。目の細かい金網性の容器にペア外のオスを入れることで、実際には交尾できないがオスの存在は認識できる状況をつくることができる。モンシデムシのペア形成時にそばにこの容器を置き、容器内のオスの有無によってペアの行動、特に繁殖後のオスの給餌回数の変化を測定した。予想に反し雌雄とも行動は変化しなかった。さらなる調査のため、分子マーカーを開発した。これらの成果は今年度発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上に実験が進展し、25年度に予定した分子マーカーの開発や親の給餌頻度の変化に伴う子の餌請い行動の変化について一部着手することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマも父性の確かさをより重視した方がよいと考えられたものの、当初予定した計画をそのまま早めに遂行していく予定である。その上で可能であれば追加実験を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定より進捗があったため予定を繰り上げて前払い申請を行い以下の実験に着手したが、一部の実験を完了できず未払い金が生じた。その分は次年度分とあわせて使用する。 父性が親子関係に与える影響を調べるため、分子マーカーによる親子判定を行う。本実験に必要な実験・保存容器と分子マーカー用に必要な試薬を購入する。また、必要に応じて実験協力者への謝金を支払う。
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Research Products
(2 results)