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2013 Fiscal Year Research-status Report

アゲハ類における精子間競争-無核精子最後の戦い-

Research Project

Project/Area Number 24570019
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

渡邉 守  筑波大学, 生命環境系, 教授 (80167171)

Keywords無核精子 / 有核精子 / 精包 / 交尾嚢 / 受精嚢 / 精子移動 / キタキチョウ / 成虫越冬
Research Abstract

蝶類の精子には、核をもち卵と受精できる有核精子と、核がなく受精できない無核精子が存在する。一方、雌の生殖器官は、交尾嚢と受精嚢があり、精子が含まれる精包は交尾嚢へ注入される。交尾後、精子は精包を出て受精嚢へと移動し、産卵時の受精を待つことになる。これまでに、無核精子の存在意義として、有核精子の移動を助けるという説が斉唱されてきた。
平成24年度に行なったナミアゲハとクロアゲハにおける両型の精子の移動を基礎として、比較のため、キタキチョウの精子移動について明らかにした。キチョウは成虫越冬する秋型と、越冬しない夏型が出現し、どちらの型も、交尾後、1000~2000本の有核精子が受精嚢に達していることがわかった。無核精子も1000本は受精嚢に達しているものの、アゲハ類と同様に、交尾後の時間経過と共にその数は減少していった。特に、秋型雌が秋に交尾して冬を越すと、翌春の雌の受精嚢内には無核精子が認められず、有核精子のみになっていたことが注目される。春に再交尾を行なった事を確認した秋型雌の受精嚢内には少なくとも数百本の無核精子が認められたので、この種の無核精子の役割も、アゲハ類におけるそれと類似性をもっていることが示唆された。
平成24年度に購入した画像解析ソフトによる無核精子の活性測定は、顕微鏡下における無核精子の活性の急減を克服できなかったため、今後の課題となった。また、平成25年度に購入予定だった動物用内視鏡は、業者によるデモなどを数回繰り返したにもかかわらず、充分な成果が得られなかったため未購入であり、平成26年度に他の撮影装置に機材変更して、再度撮影を試みる予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

比較のために行なったシロチョウ類・キタキチョウにおける交尾時の精子注入数やその後の精子移動における無核精子の挙動について、アゲハ類とほぼ同様の過程が生じていることを示唆できた。しかも、秋型雌における越冬前後の交尾の判定に受精嚢内の無核精子量を利用できるという成果も挙げられたので、この分野では予定通りの進捗状況と考えられる。しかし、予定していた無核精子の運動活性の定量化は試行錯誤の状態に留まり、内視鏡を用いた撮影は不調に終わっている。

Strategy for Future Research Activity

本研究の前提は、雌が生涯に複数回交尾する多回交尾制の種において生じる精子間競争である。したがって、雌が複数回交尾したときの無核精子の役割が明らかにならねばならない。
25年度において、ナミアゲハやクロアゲハの無核精子の動画撮影に試行錯誤を繰り返したにもかかわらず充分な成果が得られなかったので、26年度では、他のアゲハチョウ科の種にも対象範囲を拡げて無核精子の移動を観察したいと考えている。
26年度は、フィンランドで4年に1回開催される蝶類の生態・行動・進化シンポジゥムがあり、発表準備中である。また、年度末までに、これまでの成果をまとめて「Sperm Competition in Butterflies」をSpringer社から単著で出版することになった。
なお、25年度の購入予定であった昆虫用に特化した内視鏡は、実験に使えない事がわかったので、26年度に繰り越して、類似の機能を持つ撮影装置を購入する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初購入予定だった内視鏡(昆虫用に改良予定)が、購入前の試行実験により、充分に機能しないことがわかり、購入を見合わせたためである。その後、いくつかの撮影用機材を検討したものの、どれも研究に堪えないと判断された。
試行的に用いるために、25年度には通常校費で購入した撮影機材もあったが、それらでは充分な能力を引き出せていない。
当初予定していた国際学会(フィンランド)における研究発表の日程が、航空運賃の最も高い時期に当たってしまったため、旅費として500千円計上する。
24年度に購入した画像解析ソフトのバージョンアップとして200千円とし、残金の約270千円で、再度、適正な機能をもつマクロ用撮影機材を探してみたいと考えている。

  • Research Products

    (6 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] キタキチョウの夏型雄の精子生産と注入精子数2013

    • Author(s)
      小長谷達郎・渡辺 守
    • Journal Title

      応動昆

      Volume: 57 Pages: 243-248

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] アゲハ類における有核精子の活性と無核精子の役割2014

    • Author(s)
      渡辺 守・武藤直樹
    • Organizer
      第58回日本応用動物昆虫学会大会
    • Place of Presentation
      高知大学
    • Year and Date
      20140326-20140328
  • [Presentation] キタキチョウの秋型雌が越冬前と越冬後に交尾する意義2014

    • Author(s)
      小長谷達郎・渡辺 守
    • Organizer
      第61回日本生態学会大会
    • Place of Presentation
      広島国際会議場
    • Year and Date
      20140314-20140318
  • [Presentation] キタキチョウの成虫越冬する雌は冬を越せない雄の足下を見る?2013

    • Author(s)
      小長谷達郎・渡辺 守
    • Organizer
      第32回日本動物行動学会大会
    • Place of Presentation
      広島国際会議場
    • Year and Date
      20131129-20131201
  • [Presentation] Factors affecting mating activity of virgin males on the sperm number produced in Japanese small yellow sulfur, Eurema mandarina2013

    • Author(s)
      Konagaya, T. & M. Watanabe
    • Organizer
      62nd Annual Meeting of the Lepidopterists' Society
    • Place of Presentation
      Hilton Hotel, Florida, U.S.A.
    • Year and Date
      20130627-20130630
  • [Presentation] Eupyrene sperm migration in relation to the number of apyrene sperm transferred in the swallowtail butterflies2013

    • Author(s)
      Muto, N. & M. Watanabe
    • Organizer
      62nd Annual Meeting of the Lepidopterists' Society
    • Place of Presentation
      Hilton Hotel, Florida, U.S.A.
    • Year and Date
      20130627-20130630

URL: 

Published: 2015-05-28  

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