2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570024
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高見 泰興 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60432358)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 生殖隔離 / 交尾器 / 交雑帯 / エコゲノミクス |
Research Abstract |
交尾器形態が分化したオオオサムシ類では,種間の交尾では交尾器が破損し,繁殖能力が失われることで生殖隔離が成立する.この際に生じる自然淘汰を,二次的接触域の野外集団を継時的にサンプリングすることにより,直接測定する.新成虫が羽化する8~9月から繁殖期前の4月までは,自然淘汰が働く前の段階にあり,交尾器の破損はない.一方,繁殖期後期の6~7月は自然淘汰が働いた後の段階にあり,交尾器が破損している個体が多いことが,先行研究と予備調査により判明している. 平成24年度は,マヤサンーイワワキ鈴鹿交雑帯,タキハラオサ孤立集団,ウガタオサ孤立集団,アゲマツオサ交雑由来集団にて,繁殖期前期から後期にかけての複数回サンプリングを行った.サンプルは冷凍保存し,順次形態測定とDNA抽出を進めている. 遺伝的解析については,交尾器形態に関連する遺伝子座(QTL)にどのような自然淘汰が働いているのかを,ゲノムクライン法により明らかにすることを目論んでいる. これまでにマヤサンーイワワキ鈴鹿交雑帯のサンプルを中心にマイクロサテライト12遺伝子座について700個体程度の遺伝子型決定を行ってきた.この方法は,交尾器形態QTLに連鎖した既知のマイクロサテライト遺伝子座を特定して解析できる利点があるが,遺伝子座数を増やす点では効率が悪い.一方,近年の次世代シーケンサーの急激な進歩は,網羅的な遺伝子型決定を,より低いコストで実現しつつある.これは研究計画段階では予想しえなかった進歩であるが,今後は本研究でも次世代シーケンサーによる遺伝子型決定を導入することを検討する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子型決定の方法を,従来の電気泳動から次世代シーケンサーによるRADseqに変更する検討を開始したため,一時的に従来法によるデータ取得を一部見合わせているため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,当初の予定通り交雑集団の季節的サンプリングを重ね,形態レベルでの自然淘汰の検出を進める. 遺伝子レベルでの解析では,次世代シーケンサーを用いた解析を開始するための検討を進める.最終的には,既存のマイクロサテライトマーカーによる解析は,QTL近傍領域の最小限にとどめ,それ以外の領域には次世代シーケンサーによるデータを用いる予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既存法での解析分を一部次世代シーケンサーでの解析に回す予定のため,その委託料分として使用する計画である.
|