2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24570024
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高見 泰興 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60432358)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 生殖隔離 / 種分化 / 交尾器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,種分化に関連する繁殖形質にかかわる自然淘汰を,表現型と遺伝子の両面から検出しようとするものであった.材料は,日本列島内で分化し,多様な交尾器形態が種間の生殖隔離に関与することが知られているオオオサムシ亜属(甲虫目,オサムシ科)を用いた. 種間の多様化をもたらす淘汰の検出については,イワワキオサムシとマヤサンオサムシを用いて行った.それぞれの種の精子競争においてはたらくと考えられる性淘汰を,2回交尾実験を用いて実測した.その結果,イワワキオサムシでは交尾器形態にはたらく方向性淘汰と安定化淘汰が検出されたが,より複雑な交尾器形態を持つマヤサンオサムシでは,イワワキオサムシと同様の淘汰に加えて,部位間で相関した淘汰も検出された.これらの結果から,種分化をもたらす交尾器形態の多様化には性淘汰が関与していること,また,形態の特殊化が起こる際には,異なる部位が協調して機能するような機能的な複雑化が関与していることが示唆された. 種間の生殖隔離に関する淘汰の検出については,種間の接触域や交雑帯に注目して研究を行った.イワワキオサムシとマヤサンオサムシの分布データを元に,それぞれの種の生態ニッチモデルを構築したところ,種間で有意な分化が検出された.また,種間の接触域は,それ以外の地域に比べて水分条件が厳しいことが判明した.これらの結果から,2種の間の生殖隔離には気候に対する適応分化も関与していることが示唆された. 種分化関連遺伝子にはたらく淘汰を調べるため,イワワキオサムシーマヤサンオサムシ接触域,ミカワオサムシーアオオサムシ接触域において,集団サンプリングを行った.遺伝子領域の浸透交雑の状況から淘汰を推定するため,マイクロサテライトによる個体のジェノタイピングを行い,また,次世代シーケンサーによるRADSeqを用いた大規模解析のための準備を進めた.
|