2013 Fiscal Year Research-status Report
植物・昆虫インターフェイスで繰り広げられる分子間相互作用
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24570026
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
IVAN Galis 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (90360502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新屋 友規 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (80514207)
谷 明生 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (00335621)
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Keywords | イネ / ホルモン / 昆虫 / 代謝物 / エリシター / 植食性昆虫 / ジャスモン酸 |
Research Abstract |
イネにおける植食性昆虫により誘導される防御応答機構の解析を行うために、H24年度にESI-LC-MS/MS、ESI-LC-TOF/MS解析により代謝物蓄積変化を測定したところ、複数の代謝物の変化が認められたが、それら化合物の構造は不明であった。H25年度は、植食性昆虫食害およびエリシターにより誘導される代謝物の同定を試みた。その結果、フェノール性アミド化合物coumaroylpurescine(CP)および feruloylputrescine(FP)を同定した。これら化合物がイネ-植食性昆虫間の相互作用に関与するという報告は現在までになかったが、咀嚼性昆虫(Mythimna loreyi, Spodoptera mauritia, Parnara gutata)および吸汁性昆虫(Nilaparvata lugens)といった複数の植食性昆虫の食害により誘導されることを示した。さらにCPとFPの化学合成を行い、今後CPやFPのイネ防御応答における機能解析を試みる。 イネにおける植食性昆虫の認識機構を解析する上で、植食性昆虫由来エリシター活性成分の簡便な評価系を確立した。エリシター活性評価の指標としてCPとFPを用いて解析を行ったところ、本評価系では500-1000倍希釈したMythimna loreyi口腔分泌物のエリシター活性を測定可能であった。現在、Mythimna loreyi口腔分泌物由来エリシターの精製を進めている。 イネのジャスモン酸シグナル伝達に重要なOsJAR1の欠損イネを用いて、防御応答シグナル解析に加え、ジャスモン酸シグナルの種子形成への影響を、OsJAR1欠損イネを用いて解析した。その結果、ジャスモン酸シグナルは防御応答だけでなく、イネの種子形成の制御にも関与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は、イネの植食性昆虫に対する防御応答解析として、2種の低分子化合物を同定した。さらにそれら応答を指標とした口腔分泌物のエリシター活性測定系の構築を行った。以上のように本研究課題は研究計画に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、Mythimna loreyi口腔分泌物に含まれるエリシターの同定に向けて引き続き精製を行う。植食性昆虫食害により誘導されたフェノール性アミド化合物の、イネ防御応答における機能解析を試みる。またフェノール性アミド化合物以外の植食性昆虫により誘導される代謝物の同定を行う。ジャスモン酸はイネの防御応答および種子形成に対して機能を有するが、そのシグナル制御機構の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
課題の一部を次年度に行うこととなったが、研究課題全体としておおむね順調に進展しており、次年度も使用計画に従い研究を推進する。 研究課題全体としておおむね順調に進展しており、次年度も実施計画に従い、エリシター精製および植食性昆虫誘導性代謝物の解析を中心に、試薬・分子生物学試薬および消耗品の購入、研究支援者へ人件費として使用する。研究成果の発表および情報収集のため国際会議への参加するため旅費を手当てする。
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Research Products
(4 results)